辛く重い展開の朝ドラで、「山下・坂口コンビ」に癒やされる 

2月1日に放送された『ブギウギ』(NHK総合)第85話で、大阪の病院で長らく闘病を続けていた愛助(水上恒司)が亡くなってしまった。それを知らずにスズ子(趣里)は独りで、女の子を出産した。

玄関戸からスズ子の異変を感じ取る坂口(写真下、黒田有)と山下(上、近藤芳正)(C)NHK

絶えず「生と死」を描き続けてきた本作らしい、激流のような展開に息を呑みつつ、一服の清涼剤として視聴者の心を癒やしてくれる山下(近藤芳正)と坂口(黒田有)のコンビの存在がありがたい。

愛助の不在で心細いスズ子の出産を全力でサポートし、きっとこの後もスズ子の大きな支えになってくれるであろう「山坂コンビ」と、演じる近藤芳正と黒田有の魅力について、制作統括の福岡利武さんに聞いた。

■「2人の自然な反応が、何ともいえないおかしみに」

福岡さんは、山下と坂口をコメディ・リリーフとして意識して配役したわけではないと語り、こう見解を示した。

「近藤さんも黒田さんも、山下と坂口としてしっかりと役になりきって演じていただけました。スタッフの狙いとしても、またご本人たちからしてもおそらく、特に何かを狙ったり、コメディタッチにしようとかは考えていないんですね。スズ子の出産、愛助の死と、劇的な出来事が次々と起こって、それに対する山下と坂口の本心からの、素直な反応の結果なんじゃないかと思います。その『自然な反応』が、何ともいえないおかしみにつながっていますよね」。

また、近藤と黒田の俳優としての魅力をたずねると、「おふたりとも明るいところからシリアスなところまで、本当に表現の幅が広くていらっしゃいます。 何かが起こるごとに、坂口のショックな顔がリアルで(笑)。でも黒田さんご自身も、決して狙ったわけではなくて『聞いて感じたことを、そのまま表現しただけです』とおっしゃっていました。それだけしっかりドラマに入りこんでいただけたのが、僕としてはとてもうれしかったです」と絶賛。

普段の近藤と黒田はどんな様子だったのだろうか。福岡さんは「カメラが回っていないところでも、おふたりは仲良くお話されていました。黒田さんは『大先輩の近藤さんに導いていただいて、いい感じにお芝居できていればいいな』というようなことをおっしゃっていました。お芝居を重ねるうちに、おふたりのコンビネーションもどんどん良くなっていったように思います」と、山坂コンビの相性に太鼓判を押した。

娘を無事出産し、幸せの絶頂にあるスズ子だが、明日の第86話ではどうなってしまうのだろうか。きっと山下と坂口が、がっちりと支えてくれるに違いない。

取材・文/佐野華英

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