イラク戦の二の舞か...“中東の勢い”を食い止めた日本代表の圧巻プレー。冨安の「雰囲気を殺す」を体現した【現地発コラム】

[アジアカップ ラウンド16]日本 3-1 バーレーン/1月31日/アル・トゥママ・スタジアム

流れを渡さなかったという点で、大きな意味があった。

日本代表は1月31日に行なわれたアジアカップのラウンド16でバーレーンと対戦。3-1で快勝し、ベスト8に駒を進めている。

4万4000人強のアル・トゥママ・スタジアムに訪れた観衆は3万1832人。空席も目立ち、日本代表へのブーイングもほぼなく、イラク戦のような完全アウェーという雰囲気ではなかった。とはいえ、バーレーンサポーターと拍手と歓声は立ち上がりから威圧感があった。

ただ、森保ジャパンが31分に堂安律のゴールで先制し、49分に久保建英が追加点を挙げると、意気消沈したのか相手ファンの声も迫力がなくなっていった。

しかし、64分に上田綺世のオウンゴールでバーレーンが1点差に詰めよると、再び会場がヒートアップ。大声援が敵をサポートする。

【PHOTO】日本代表のバーレーン戦出場16選手&監督の採点・寸評。最高点は右サイドの2人。“持っている”10番をMOMに選出
今大会、イラク戦の日本やヨルダン戦の韓国がそうだったように、サポーターの後押しを受けた中東勢の勢いに、他の国がのまれる試合を何度も見てきた。またそれが繰り返されるのか――。

【動画】バーレーンの勢いを食い止める!上田が圧巻の突破から股抜き弾
そんな恐怖が頭をよぎったが、頼れる9番がそれを食い止めた。72分、毎熊晟矢からパスを受けた上田が相手に囲まれながらも突破を見せ、右足でグラウンダーのシュート。文字通りゴールにねじ込んでみせた。これで、バーレーンの勢いは完全に遮断され、その後は日本がチャンスを作り続けた。

DFの冨安健洋は前日、「アウェーサポーターもたくさん来る。その中で試合の会場の雰囲気を殺すというか、相手に希望を与えずに、スタートからエンジン全開でやる必要ある」と話していた。

まさに「雰囲気を殺す」を体現した、圧巻の一撃だった。

取材・文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部/現地特派)

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