【競馬】「2桁人気の騎手リーディング」を調査 2023年最も穴馬を勝たせたのは佐々木大輔、国分恭介騎手

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「2桁人気リーディング騎手」は誰だ

突然だが、「よく大穴を開ける騎手」といえば皆さんは誰を想像するだろうか。若手の菅原明良騎手や、昨年ブレイクした原優介騎手だろうか。オールドファンなら江田照男騎手の名前が真っ先に思い浮かぶかもしれない。

これを実際にデータで見るとどうなのか。今回は2023年の中央競馬を対象に「2桁人気リーディング」を調査。単勝10番人気以下の馬で顕著な成績を残した騎手を紹介する。

栄えある1位は……

栄えある「2桁人気リーディングジョッキー」に輝いたのは2003年生まれの若武者・佐々木大輔騎手。2桁人気での成績は【5-4-4-209】、勝率2.3%、複勝率5.9%だった。ちなみに5勝のうち4勝は「ダートでテン乗り」という共通項があった。昨年は函館リーディングを史上最年少で獲得した佐々木騎手。減量特典が小さくなり、なくなっていくなかで今年さらに成績を伸ばせるか、要注目のジョッキーだ。

2位は2着数の差で国分恭介騎手【5-3-7-189】勝率2.5%、複勝率7.4%。5勝はいずれも他騎手からの乗り替わりだった。印象的な勝利は7月の中京芝1400mで行われた3歳未勝利戦。単勝132.1倍のシランケドで4角16番手から豪快な直線一気を決めた。同馬とはその後コンビを継続し、格上挑戦の紫苑S(GⅡ)でも9番人気3着と穴を開けた。

3位は団野大成騎手【4-7-6-167】勝率2.2%、複勝率9.2%。なんといっても高松宮記念(GⅠ)で12番人気ファストフォースを見事1着に導く大仕事があった。団野騎手が単勝10番人気以下に騎乗した「芝の稍重~不良馬場」は昨年17戦あり、前述のファストフォースなど4度の馬券絡み。芝の道悪で大穴に乗っていればマークしてみたい。

4位は原優介騎手【4-5-6-270】勝率1.4%、複勝率5.3%。5月までは【0-0-2-125】と連対すらなかったが、夏場に何かをつかんだのか、6月以降は穴を開けまくった。11月以降はスタンリーテソーロ(新馬戦)で12番人気1着、ジョージテソーロ(カトレアS)で15番人気2着、そしてウィルソンテソーロ(チャンピオンズC)で12番人気2着。「テソーロ」の冠名で知られる了徳寺健二HDとのコンビで三度、人気薄を上位に導いた。穴党にとって今もっともホットな騎手といっても過言ではない。

5位は丹内祐次騎手【4-5-5-224】勝率1.7%、複勝率5.9%。3場開催時はローカルで騎乗することの多い丹内騎手だが、4勝は東京と中山で二つずつ。また、新馬戦での1勝を除く3勝はいずれも「過去に自身が騎乗して好走歴あり」というパターンだった。主場でいわゆる「手が合う馬」に乗って人気がなければ面白い。

以上が5位までの顔ぶれだが、こう見ると勝利数上位は当然、2桁人気馬への騎乗そのものが多かった騎手たちが占めた。では見方を変えて、大穴で好走する「率」が高かったのは誰か。これを紹介して最後の締めとしたい。

2桁人気馬に30回以上騎乗した騎手のうち、勝率トップは田辺裕信騎手で3.8%(78騎乗で3勝)。複勝率トップは西村淳也騎手の11.9%だった(135騎乗)。特に西村騎手は「芝のマイル以上」で複勝率18.2%、単回収率353%、複回収率174%という驚異的な数値だ。くれぐれも軽視は禁物だ。

<ライタープロフィール>
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、X(Twitter)やブログで発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。



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