道内空き家問題 注目集める「0円物件」

道内でも増加している「空き家」。総務省の調べによると、道内の総数は約38万戸で住宅全体の13.5%に相当する。今回のけいナビは道内各地の空き家問題について特集する。

旧産炭地の三笠。1960年代に6万人以上いた人口はことし1月、7500人を割り込んだ。人口の増加は閉山以降続いていて、それに伴って空き家も増えてきた。

管理が行き届かないまま放置された結果、倒壊の危険や衛生面の問題が発生している物件も見られ、市はこれまでに24軒を「特定空き家」に認定、さらに100軒ほどが認定される可能性があるという。

空き家問題に悩むのは、旧産炭地の自治体だけではない。小樽でも、買い手が付かず処分に悩む人が少なくないという。

市内に住む女性は、母親が暮らしていた築100年ほどの物件を処分しようと不動産会社を回ったが、取り扱ってくれた会社はゼロ。市にも相談したが、良い結果は得られなかった。

そんな中、女性がたどり着いたのが、不動産を譲りたい人と取得したい人を結びつける「みんなの0円物件」というサイト。運営するのは、全国の無償譲渡物件の情報を取り扱う0円都市開発合同会社(旭川)だ。女性はこのサイトを利用することで、短期間で物件をほしいという人に巡り合った。

同社の中村領代表によると、2019年の会社設立からの5年間に寄せられた不動産情報は1500件。大半が「タダでもいいからもらってほしい」というもので、これまでに扱った物件の8割で譲渡が成立したという。

札幌にも、10年以上空き家のまま処分できずに困っている男性がいた。土地の形状が複雑で、真横の建物とつながっているという特殊性から買い手が付かない物件だったが、「みんなの0円物件」を活用するとすぐに譲渡先が見つかった。男性は「解体して土地を売っても解体費用を賄えない状態だった」と話した。

中村代表は「道内の空き家はこれからさらに増えていく」と予測し、「自らの取り組みが空き家問題を考えるきっかけになれば良い」と説明。今後、司法書士とタッグを組み組織化できれば、さらに多くの物件を扱えるようになると意欲を見せている。

番組MCの杉村太蔵さんは、「旭川や函館といった主要な都市の街の真ん中にも空き物件や空き家があり、所有者が分からないものも多い。こうした部分をいかに解決していくか、真剣に考えないといけない」とまとめた。

(2024年2月3日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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