【光る君へ】優雅な舞の裏で、翻弄される女性たちに同情の声

平安時代の長編小説『源氏物語』の作者・紫式部の人生を、吉高由里子主演で描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。1月28日放送の第4回『五節の舞姫』では、あでやかな舞を披露しながら真実を知るまひろ(後の紫式部)と、知らぬ間に憎しみの対象とされた詮子という、2人の女性の試練に大きな注目が集まった(以下、ネタバレあり)。

『光る君へ』第4回より、五節の舞を披露するまひろ(左・吉高由里子)と怒りを露わにする詮子(吉田羊) (C)NHK

■ 第4回「五節の舞姫」あらすじ

散楽のおこなわれる辻で、三郎(柄本佑)と再会したまひろは、自分が下級貴族・藤原為時(岸谷五朗)の娘であることを告白。三郎も正体を明かそうとしたとき、まひろの父の友人・藤原宣孝(佐々木蔵之介)と遭遇し、そのまま別れてしまう。

『光る君へ』第4回より、三郎(柄本佑)に自分の身分を明かすまひろ(吉高由里子) (C)NHK

その頃、左大臣・源雅信(益岡徹)の娘・倫子(黒木華)が五節の舞姫に選ばれたが、女好きの花山天皇(本郷奏多)の目に留まることを恐れた倫子は、まひろに代役を願い出る。それを快諾したまひろだが、舞を披露したその大舞台で、三郎が母を殺害した藤原道兼(玉置玲央)の弟・道長であることを知ってしまう・・・。

■ 情報量多すぎて気絶のまひろ、変化球の身バレ

逢うごとに好意をつのらせていくという、なんとも甘酸っぱい展開で視聴者を悶えさせてきたまひろ&道長カップルだが、ここに来てジワジワと「現実」という影を落としはじめてきた。まひろは自分から身分を明かしたけど、道長はいつその正体がバレるのか? とドキドキしていたら、宮中行事の『五節の舞』にまひろが抜擢されるミラクルがそのきっかけになるという、なんとも変化球の身バレだった。

『光る君へ』第4回より、五節の舞を披露するまひろ(吉高由里子)たち (C)NHK

ちなみにこの『五節の舞』は、皇室の主催行事『豊明節会(とよあかりのせちえ)』という饗宴で披露される舞で、ここまで本格的に再現されるのは非常に珍しい(もしかして史上初?)。SNSでも「絵がもう本当に美しかった。この時代の作品の醍醐味」「生きているうちに、五節の舞が見れるとは」「豪華すぎて後からフルバージョンを見られると有り難い」など絶賛状態だった。

しかし、そこでまひろの目に止まったのがあの三郎&その隣にいる母の敵の「ミチカネ」! そこからほかの舞姫たちの話を通じて、三郎とミチカネの正体が一気に明かされていく流れが、秀逸なミステリーのようにあざやかだった。それにしても情報量が多すぎて、まひろじゃなくても気絶せずにはいられなくなるだろう。

ある事実を知り、目を見開くまひろ(吉高由里子)(C)NHK

■ 夫の絶縁宣言と父のすっとぼけでズタボロに

そして今回はまひろ以外にもうひとり、運命に恋心を翻弄された女性がいる。道長の姉で、円融天皇(坂東巳之助)の皇子を産んだ詮子(吉田羊)だ。貴族のパワーバランスを保つためもあって、詮子には冷たかった円融帝だが、詮子が毒を盛った一味だと誤解して、あまりにも冷酷な言葉で絶縁を宣言。しかも真犯人である父親は、詫びるどころかすっとぼけ続けるわけだから、これはまひろ以上に感情ズタボロだろう。

『光る君へ』第4回より、円融帝(坂東巳之助)から絶縁を言い渡される詮子(吉田羊)(C)NHK

SNSでも「不憫でならん。父とこの時代の女性の立場に翻弄されている」「毒のことを知らなかった詮子、三郎の正体を知らなかったまひろ。女性には真実が語られない」など、同情の声が集中した。

そこに畳み掛けるように、長男・道隆(井浦新)が「これで僕らは結束したよ!」と嬉々として語るに至っては、「『我々は絶対に外には持ち出せない秘密を共有する運命共同体ですね~』に持っていける道隆、こいつもこいつで怖い」「とにかく家が大事。家族の結束が大事。ゴリゴリの嫡男に仕上げた兼家すごいな」と、恐れおののくコメントが相次いだ。

『光る君へ』第4回より、父・兼家(段田安則)を問いただす詮子(吉田羊)(C)NHK

こんな化け物だらけのファミリーのなかで、明らかに疎外感をつのらせていく詮子&道長姉弟だけど、のちに2人は結託して独自の道を歩むようになる。目も当てられない展開に見せながらも、実はこの姉弟の今後の道筋がしっかりと舗装されていくのを確認できる回でもあった。そしてこの道に、まひろはいつ、どのような形で乗っていくことになるのだろう?

『光る君へ』はNHK総合では日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kは昼12時15分から放送。2月4日放送の第5回『告白』では、三郎の正体を知ってショックを受けるまひろが直秀(毎熊克哉)の手引で再会し、お互いの思いを打ち明ける姿が描かれる。

文/吉永美和子

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