シェル23年通期は30%減益、増配と自社株買い延長発表 株価上昇

Ron Bousso

[ロンドン 1日 ロイター] - 英石油大手シェルが1日発表した2023年通期決算は、石油・ガス価格の下落を背景に280億ドルの黒字となり、過去最高益を記録した前年から30%の減益となった。

ただ同社は4%の増配と自社株買いの延長を発表した。

同社の株価は2.4%高で引けた。過去1年間で8%以上上昇し、競合他社をアウトパフォームしている。

第4・四半期の調整後利益は73億ドル。市場予想の60億ドルを上回った。前年同期は過去最高の98億ドルだった。

第4・四半期は液化天然ガス(LNG)のトレーディングが好調だったが、精製と石油トレーディングが不振だった。化学製品事業は5億ドルの損失を計上した。

RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ビラジ・ボルカタリア氏はノートで「LNG部門は引き続きキャッシュ創出に貢献している」と指摘した。

配当は前四半期から4%引き上げ1株当たり0.344ドルとした。前年比で20%の増配。コロナ禍による歴史的な減配以降、7回目の増配となる。

今後3カ月間で追加で35億ドルの自社株買いを行うことも発表した。

23年の株主還元は230億ドル近くに達した。時価総額の10%以上、営業キャッシュフローの40%以上に相当する。

ワエル・サワン最高経営責任者(CEO)は「24年を迎え、当社は引き続き組織を簡素化する。排出量を減らし、価値を高めることを重視する」と述べた。

第4・四半期のフリー・キャッシュフローは70億ドルに減少し、23年の最低を記録。前年の155億ドルの半分以下となった。

同四半期には55億ドルの評価損を計上。このうち25億ドルはシンガポール化学製品事業の減損、12億ドルはナイジェリア・英国・北米の石油・ガス事業の見直し、8億7300万ドルは主にオーストラリアのLNG生産評価の見直しによるものだった。

ロイターの分析によると、23年の再生可能・エネルギーソリューション部門への支出は前年比23%減の27億ドルになった。これは設備投資総額の11%に相当。22年は14%だった。

23年のグループ設備投資総額は244億ドル。今年は220億─250億ドルと見込まれている。

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