“歩く袋とじ”高砂ミドリ「金縛りにかけるようなグラビアを見せたい」

一度見ると忘れられない妖艶な雰囲気と抜群のスタイルをもつタレントの高砂ミドリ。現在はグラビアなどで活躍している彼女に、ニュースクランチ編集部がインタビューを敢行。グラビアやSNSから発せられるミステリアスな雰囲気はどのように培われたのか? 彼女のパーソナルな部分から、グラビアという仕事への向き合い方、今後の目標などを聞いた。

▲高砂ミドリ【WANI BOOKS-“NewsCrunch”-Interview】

高砂ミドリを形作った3人の女性

独特の雰囲気をもつ高砂ミドリ。まずは青森県で生まれ育った彼女の幼少期から探っていこうと思う。

「よく男の子に間違われていましたね。今のイメージとは少し離れていると思うんですけど、わりと活発な子でした。根本の性格として内気で人見知りなのは今も変わらないんですけど、うまく人と渡り合わないといけないと小さい頃から思ってましたね。兄弟は弟が1人いて、私は長女だったんですが、“お母さんを悲しませたくない”と顔色を伺う子どもでした」

早熟な子だったと淡々と語る高砂。“不思議な話なんですけど……”と前置きして、彼女のパーソナルな部分を決定づけるような出来事について教えてくれた。

「小学校2年生くらいの頃かな? 家族と一緒に地元のお祭りに出かけて、家に帰ってから寝ていたんです。そうしたら金縛りにあって、夢なんですけど、両親から“お前なんか生まれてこなければよかった”“うちの子じゃない”と激しく言われて、すごく怖いし泣き叫びたいんだけど、金縛りにあってるから動けない。これが現実なのか夢なのかもわからない。

実際には両親からすごく可愛がられていたし、小さい頃は親離れができないくらいだったんですけど、その出来事は鮮烈でしたね」

もちろんそれは夢で、翌朝よそよそしくしている彼女に、両親は“どうしたの?”と心配してくれたそうだ。

「でも“昨日の言葉は本当なの?”なんて聞けないじゃないですか、実際にそれは夢だったわけですし。でも、その出来事を機に“こうすればこう思われるかな?”とかをよく考える子になりましたね。より一層、両親に気に入られる娘になるよう、意識するようになりました。

いま考えると、まだまだお母さんに甘えたいけど、弟への比重が大きくなってしまうことに対しての執着があったのかもしれない。だから、いまだに人に甘えるのは苦手だったりします(笑)」

彼女のSNSを見ると、映画や音楽など表現に対する愛情を語っている。そこで、影響を受けた人について聞いてみた。

「山口小夜子さん、中森明菜さん、壇蜜さん。この3人が憧れの存在です。壇蜜さんはグラビアアイドルという大きなくくりでは、同じ職業をさせてもらってると言えるんですけど……果たして本当に胸を張って同じと言えるかな、と思ってしまうくらい憧れです。

山口小夜子さんも中森明菜さんも、それぞれ自分とは程遠いですけど、今でもずっと憧れで大切な存在です。小夜子さんは当時、西洋のモデルさんが全盛のなかで東洋の美しさを知らしめた方なんですね。私は切れ長で奥二重の目がコンプレックスで悩んでいて、それこそ整形しようかなと思ってたくらい。

もちろん、整形を否定しているわけじゃないんですど、その持って生まれたものを残したまま、世界で戦っていた小夜子さんの生き方にすごく胸を打たれました」

グラビアは私もファンの方々も幸せにしてくれる

山口小夜子、中森明菜、壇蜜。憧れていた芸能人もそれぞれ個性が強い。しかし、憧れを抱いていた中学生の時点では、芸能界に興味はなかった。グラビアを見るのは好きだったが、自分でもやってみたいとは思っていなかったようだ。

「中学生の頃から体の発達が他の子よりわかりやすく早かったので、校内で“歩く袋とじ”と呼ばれてたんです。私自身も壇蜜さんの袋とじが見たくて、FRIDAYを買ったりとかしてたんですけど(笑)。ちなみに、今も袋とじを開けるのは得意です、キャッシュカードでシャーって。

進学を機に上京したんですけど、確固たる夢があるとか、家族と折り合いが悪いとか、そういう理由じゃなくて。田舎特有の同調圧力、コミュニティに息苦しさを感じたからなんです。悪気なく全ての情報が筒抜けで、距離感が近い。例えば、自分がお風呂に入っているときに、家に来客があるとか(笑)。この距離感で生きていくのはちょっと無理だな、と思ったんです」

スカウトされたことをキッカケに、芸能界に足を踏み入れることになる。

「その頃は保健室の先生になりたかったのですが、上京されてからスカウトされて。最初は断ったんです。“とてもじゃないけどできないな”と思って。でも、何回かスカウトされるうちに“やってみようかな”という気持ちになりました。昔から人前に出るタイプではなかったので、この仕事をやっていることを知ったら、地元で私を知る人は驚いているんじゃないかと思います。

あ! でも、バスケ部のマネージャーをしていたんですけど、私が芸能界に入ってから、別の部活をやっていた人から“隣のコートから可愛いと思って見てました”って、打ち明けられたことはありましたね(笑)」

地元では“自分だけが高砂の可愛さに気づいている”という人が大勢いたのかもしれないが、それでも目立つ存在ではなかったと話す彼女。表に出ることに積極的ではなかったが、実際にグラビアアイドルとして活動を始めて、どういう感情を抱いたのだろうか。

「顔も名前も知らない人から見た目や印象だけで、“こいつ絶対エロいだろ”とか、イヤな言葉やコメントをぶつけられるのはツラかったですね。今は見なくなったんですけど、当時はそういうコメントを全部チェックしていたので、もうグラビアをやりたくないと落ち込んでしまうことも多かったです。

ただ、その一方、その当時から今もずっと応援し続けてくれる人がいて、そういう心無いコメントにも丁寧に反論してくれたり、毎回何かグラビアが出るたびに“今回も可愛かったね”ってコメントしてくれる。今は“この方々のためにやってみよう、そうすると私も幸せになるし、ファンの方々も幸せになるし”という気持ちでやっています」

チャームポイントは首のラインと鎖骨

高砂は現在の事務所に入る前に、一度グラビアの仕事を休んでいる。その理由を聞いてみた。

「その頃、グラビアの仕事をやりながら、自分が挑戦してみたいのは“お芝居だな”と思い、しっかりお芝居と向き合うためにワークショップに行って勉強したり、映画や舞台を見てインプットする時間にあてていたんです。生半可な気持ちでやってはいけないと思って、そのタイミングでグラビアの仕事はお休みさせていただいてました。

ただ、中途半端な感じでグラビアを休んでしまったこともあって、ずっと心残りだったんです。そのときは、“グラビアアイドルには向いてないかも……”という気持ちだったんですけど、グラビアアイドルを始める前から、私はグラビアが好きだった。このままだとグラビアのことを嫌いになってしまうような気がしていて。

前の事務所も辞めて、そういう思いを抱えながらフラフラしているところで、今の事務所にキッカケをいただいたような感じです。知り合ったグラビアアイドルの方もステキな方ばかりだったので、よりこの仕事が好きになりました。今は先ほど話した、ファンの方が楽しみにしてくださるならという気持ちと、自分自身がグラビアを好きでいたいという気持ちでやっています」

現在はグラビアの仕事に注力しており、グラビアをやるのが本当に楽しいと話す。ここで、彼女自身が思うチャームポイントについて聞いてみた。

「よく褒めていただけるのは、首のラインと鎖骨、デコルテラインですね。私は体がゴツいんですけど(笑)、ここまで鎖骨やデコルテがしっかり出るのは自分でも好きなところですね。

あとはデビューしてからずっと黒髪ボブなんですけど、このヘアースタイルも気に入ってます。小夜子さん、あとは『DESIRE -情熱-』の頃の中森明菜さんリスペクトですね。私は顔が“こけし”みたいなので、この体で黒髪ボブだと覚えてもらいやすいんですよ」

“高砂ミドリ”に求められていることを表現したい

ひとつひとつの言葉を確認するように、丁寧に発言を紡いでいく。高砂ミドリというタレントは、自分を俯瞰で見つめ、どんな仕事に対しても責任感を持って向き合っているように思えた。そう彼女に伝えると、昔の自分は違ったが仕事を通して気持ちが変わっていったと話す。

「この仕事をしているモチベーションは、“また一緒に仕事したいです”と言ってもらえたりとか、実際に2回目、3回目とお仕事をいただけるとき、“自分が必要とされているんだ”と思えて、とてもうれしい気持ちになります。

それから、昔は、例えばメイクさんに“お肌、綺麗ですね”と言われても、“いやいや……”と謙遜していたんです。でも、今は褒められたら“ありがとうございます。じつはスキンケア頑張っているんです。何か良いスキンケアの方法ありますか?”という感じで聞いたりしています。

この仕事を始めて、いろいろな経験をして、さまざまな方々と関わるうちに学んで吸収して、自然と変わっていきました。“この方が私に求めていることはなんだろう”とか、“高砂ミドリという人間やキャラクターがどのように動けばいいか”というのを深く理解しようと思ってからは、コミュニケーションの取り方や立ち振舞いを意識するようになりました」

その反面、悔しいことも多くあるという。

「オーディションで結果を出せなかったときは本当に悔しい。でも、自分でも何が足りなかったのか、わかっているところがあるんです。それをそのままにしながら、ただ漫然と仕事をしていくのが、どうしても自分の中で許せなくて。

たとえ良い結果が出たとしても、根拠のある自信がないままだったら私は悔しい。だから、去年末から演技のレッスンに通ったり、自分を高められることはできるだけしていこうと思っています」

彼女が変化した理由は、現在の事務所に入ったときにマネージャーから言われた言葉が大きな指針となっている。

「“事務所に入ったからそれでいい、というわけじゃなくて、自分で学んでいくのが大事なんですよ”と言われたのは強く印象に残ってます。あとは“グラビアの現場でも、お芝居の現場でも、この子がいたら安心だと思ってもらえるような存在になってほしい”と言われました。だから、そういう存在になれたらなと思っています」

LINEをアンインストールした理由

ところで、昨年SNSで「LINEをアンインストールしました」と発信していた。この真意について聞いてみた。

「ふふふ、そんなにおおごとじゃないんですけど(笑)。日常生活で深夜とか謎にテンションが高くなって、友達とかに連絡しちゃったり、その感じで投稿してしまったりすることがあって。私自身は“低めで安定”でいたいし、何事もしっかり俯瞰で見つめていたいと思っていたので、俯瞰じゃなくなる可能性のあるものを削ってみようかな、と」

デジタルデトックスをしていることを恥ずかしそうに打ち明けた高砂。現在はグラビアに注力しているが、今後、お芝居に挑戦することもあるのだろうか。今後の目標について聞いた。

「憧れの山口小夜子さんのメイクを長年担当されていた、ヘア&メイクアップアーティストの富川栄さんにメイクをしていただくのが夢ですね。この前も小夜子さんのドキュメンタリー映画を見て、そこには小夜子さんと関わりのある方が登場してきたんですが、そういう方にお仕事で1人でも多くお会いできたらな、と思っています。

お芝居はすごく好きなので、オファーを受けて、自分がきちんと納得できるようなパフォーマンスができるようになったら、ぜひやりたいですね。例えば…主人公の不倫相手の女性役とか…(笑)。

悪役というよりか、実際にそういう良くないことをしている人って日常にも存在するじゃないですか。そういう役をお芝居だからこそ演じられる、というところに魅力を感じます。その役をやることで、私自身も嫌われるくらいになってみたい。

グラビアに関しては、どんな印象であっても、見た人の心に残るようなグラビアアイドルでいたいし、そんなカットを撮っていただけたらうれしい。どうしてもグラビアは若い子が重宝されがちだし、自分も若い女の子がグラビアをやっていたら見てしまうんですけど(笑)。でも、自分はそうじゃないところで勝負したい。見た人を金縛りにかけるような、鮮烈な印象を残したいですね」


© 株式会社ワニブックス