【解説】カフェ建設に夜間ライトアップ…高松市中央公園 再整備で「目的地となる場所」「回遊の拠点」目指す

整備から38年近くが経ち老朽化などにより、維持管理費が増えている高松市中央公園。高松市はこの公園の「再整備」を検討しています。目指すのは「目的地となる場所」、そして「回遊の拠点」です。

午前6時半、高松市中央公園には太極拳をしている人たちの姿がありました。この団体はほぼ毎朝、この場所で活動しているそうです。

(太極拳 早朝会)
「音楽をかけたりするので、近隣の狭い公園だったら迷惑になるじゃないですか、こちらだったらそういう心配もないし。いろんな年齢層の方が利用できる素敵な公園になればいいと思ってます」

午前7時すぎには、高校生がやってきました。

(高松工芸高校 陸上競技部[駅伝]/三谷昌輝 監督)
「高松工芸高校はグラウンドがないので、でも長距離として長い距離を走らないといけない、ここはちょうど1周500mあって、運動するには最適の場所だと思います」

この公園で練習を重ねて、女子は1月、全国高校駅伝に出場しました。

(陸上競技部 駅伝チーム)
「自然もきれいなので、あんまり自然は変えてほしくないなって」
「大切な場所です、毎朝使わせてもらってるんで」

高松市中央公園は1986年、野球場の跡地に整備されました。

完成からまもなく38年…。公園は現在、大きく2つの問題に直面しています。

1つ目は「施設の老朽化」です。高松市は公園の維持管理費に年間約1500万円を充てていますが、施設や遊具などの劣化で更に増えていくとしています。

2つ目は「目的地になっていない」ことです。高松市が2022年6月に行ったアンケートでは、公園を訪れた人の52%が通勤や通学、病院や市役所などに行くために公園を通り抜けた人でした。

そのため、公園の利用者は平日の日中が多く、休日や夜間は少ない傾向にありました。

これらの問題を解決しようと高松市は「中央公園」の再整備を計画。「公募設置管理制度」通称「ParkーPFI」を活用して進めています。

「ParkーPFI」は、公募で選ばれた民間事業者が公園の中に飲食店や売店などをつくります。自治体は、事業者から土地の使用料などを徴収し施設の維持管理などにあてるというものです。

中国・四国地方では2021年に広島県の福山市中央公園が「ParkーPFI」を活用しました。

ここでは民間事業者が公園の中にレストランをオープンさせ、市は土地の使用料などを設備の改修などに充てています。福山市によるとレストランオープンによって公園に集まる人や使用料収入が増えたということです。

高松市中央公園の「ParkーPFI」では公募の結果、事業者は洋菓子店の「ルーヴ」に決まりました。

「ルーヴ」は公園内の北側エリアにパンなどを販売するカフェと公衆トイレを建設し、日々の清掃なども行います。「ルーヴ」は土地の使用料を市に支払い、市はその資金を施設の維持管理にあてます。

このほか、市の計画では芝生広場が現在の1.7倍に広がります。これまでステージなどは芝生の上に設営していましたが、西側に専用のスペースを作り、いろんな年齢の子どもが楽しめる遊具も新設します。

また、公園内の照明や樹木についても手を加える予定です。

今の公園について利用者からは……。

(イベント主催者)
「多肉植物という植物のイベントをするのにこちらの会場を借りてしようかと、視察、下見に来たんですけど、イベントとしてするならば防犯、もう少し街灯があるとか」

(近隣住人)
「(樹木が)うっそうとしてるから、もうちょっとせん定した方がいいかなって。カラスとか、ハトのフンとかもたくさん散らばってるんで」

市は木が必要以上に生い茂り、増えた虫を食べに鳥が集まっているなどとして、弱った木などの間引きとせん定をする方針です。

公園の樹木を巡っては、市民ら2500人以上が大規模な伐採をしないよう署名を提出しました。

これに対して、市は樹木の本数は現在の7割になるものの、空から見たときの緑で覆われている面積は現在とほぼ同じ規模を確保するとしています。

このほか、夜の利用者を増やすため、10種類の照明を使い足元や公園内をライトアップします。

高松市は今回の再整備で公園を目的地として利用してもらいたいと言います。

さらに中央公園の再整備によって、北のサンポートエリア、東の商店街エリア、南の栗林公園などとの回遊性を高めることにつなげたいとしています。

(再整備検討委員会 香川大学 教授/西成典久 委員長)
「カフェの経営努力と、あとは公園側の整備によって人を呼び込む、街中と接続することによって、多くの人々に回遊していただく、中央公園だけじゃなくて、街側も一緒ににぎわいを強めていく、こういったことができていく必要があるかなと」

公園再整備の基本設計は、2024年4月に開かれる4回目の検討委員会でまとまり、2025年度に工事が始まる予定です。

© 株式会社瀬戸内海放送