「きのうが1月1日みたいな気持ちだから。切り替えができない」 能登半島地震の発生から1か月

1月1日に発生した能登半島地震から1か月。建物倒壊の被害が大きかった石川県輪島市から中継です。

(森本琴衣記者)
輪島市の中心部、7階建てのビルが横倒しになった現場です。午後1時過ぎには横殴りの雪が降っていて、また今再び降り始めました。非常に寒い1日となっています。

私は1月1日、地震が発生した日に石川県に入り、この場所には1月3日の朝に、ようやく入ることができました。

このビルの現場で救出作業を取材していた際に、ちょうど震度5強の余震がありました。地面からドンと突き上げられるような揺れで、立っているのがやっと。そんな状況でした。

ビルからはミシミシと音が鳴って今にも、さらに倒れてくるのではと不安になりました。ビルには現在、これ以上倒れてこないように2本の柱が付けられています。

その柱の横には、花が手向けられています。

ビルは隣にあった居酒屋兼住宅を押しつぶし、55歳の楠健二さんは、この場所で妻と長女の2人を亡くしました。

楠さんは、昨日(1月31日)も今日(2月1日)も、この場所で家族の思い出の品を探しています。

1日の午前中には、妻のゆかりさんから誕生日プレゼントにもらったマッサージチェアや、ゆかりさんがデザインしたというTシャツ、それに楠さんとゆかりさんの2台のスマートフォンが見つかりました。

思い出の写真が詰まったスマホが見つかり、早く電源をつけて中を見たいと笑顔を見せた楠さんに、地震発生から1か月、今の思いを伺いました。

(妻と長女を亡くした 楠健二さん)
「家族みんながいれば(生活再建)できると思う。頑張れば、家族で力を合わせれば。だけど2人も一緒に失えば、やはりできない。どうしていいか、わからない。まだ、きのうが1月1日みたいな気持ちだから。切り替えが全然できない」

楠さんは亡くなった2人に対して毎日「助けてあげられなくてごめん」と謝り続けているといいます。

地震発生から1か月、被災地は今も深い悲しみに包まれています。

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