後楽園 大人入園料2割増500円 7月から 物価高で管理費かさむ

 岡山県は1日、岡山市の後楽園の入園料を7月1日から値上げする方針を明らかにした。大人(15~64歳)は410円から500円に約2割アップさせる。物価高騰の影響で老朽化に伴う施設の維持管理費などが運営を圧迫しているとして判断した。料金改定は消費税率が10%に引き上げられた2019年10月以来で、関連条例の改正案を2月定例県議会に提出する。

 県内を代表する観光地である後楽園を巡っては、新型コロナウイルス禍で落ち込んだ入園者数が回復傾向にあり、値上げによる影響が懸念される。県は「苦渋の決断」としつつ、さらなる魅力向上を進めて集客を保ちたい考えだ。

 県によると、22年度は建物の維持管理や人件費に約2億6000万円を要したが、入園料収入などでは賄えず、県の一般会計から約4800万円繰り入れた。物価高騰によって経費は23年度が約2億9千万円、24年度が約3億1千万円と膨らむ見込みで、値上げは不可避と判断した。

 改定案は入園者数を年間80万人と想定し、収支バランスが取れる料金を算定。駐車場料金も普通車を1時間100円から40分100円に引き上げる。一方で入園者の減少を食い止めるため、年間パスポートの料金を値下げし、高校生以下の無料入園は継続する。

 24年度には江戸期に桜や紅葉の観賞が楽しめた「二色(にしき)が岡」エリアの景観再生事業が完了する予定。石井謙次・県後楽園事務所長は「値上げは心苦しいが、歴史ある素晴らしい景観を保つとともに、新たな見どころもつくっていきたい」と話している。

7月から入園料の値上げが予定される後楽園。コロナ禍を経て回復に向かう入園者数への影響が懸念される

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