ついに来た「d払いタッチ」を解説、20%還元キャンペーンも。まずはAndroid向け、iPhone対応に期待(石野純也)

ついに来た「d払いタッチ」を解説、20%還元キャンペーンも。まずはAndroid向け、iPhone対応に期待(石野純也)

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昨年末からウワサされていた、というより自らポロリしてしまっていたドコモの「d払いタッチ」が、ついにサービスを開始しました。

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「d払い」という名称ではありますが、これはiDを使った非接触決済。クレカのタッチ決済とも紛らわしい印象はありますが、NFCではなく、FeliCaを使っています。

現在、ドコモは「d払い(iD)」として、FeliCaを使った決済サービスを提供していますが、これを4月以降に順次終了して、以降はd払いタッチに一本化していく方針を示しています。

経緯としては、ドコモは2006年にフィーチャーフォン(ガラケー)向けのポストペイサービスとして、「DCMX」の提供を開始していました。今の「dカード」の前身がこれ。

その際に合わせて開発されたのが、携帯電話の料金と合算で支払いができる「DCMX mini」。毎月1万円まで利用できました。このDCMXがブランドを変え「dカード」になってからは、「dカード mini」に名称を改めています。

▲d払いタッチの元祖とも言えるのが、dカードの前身となるDCMX発表時に導入されたDCMX mini。写真は筆者が撮影した2006年の発表会での展示。18年で腕も機材も向上していることが分かる(笑)

そのdカード miniを2019年にd払いに統合。上記のdカード(iD)になったのはこのときのことです。

ただし、統合といってもそれは名称だけの話。変わったのはあくまで“ガワ”だけで、仕様的にはDCMX miniのころから変わらず、携帯電話料金の合算払いとなり、月1万円までしか利用ができませんでした。

前身の前身であるDCMX miniの開始から間もなく18年が経とうとしている歴史があり、流行り廃りの激しいモバイルサービスの中では、かなり息が長いサービスと言えるでしょう。しっかりスマホ時代にも生き残りました。

▲dカード miniをd払いに統合し、d払い(iD)のサービスを開始した際のプレスリリース。ただし、統合と言っても、実際には名称変更に近かった

一方で、d払い(iD)にリブランディングした際には、機能面もd払いに統合していくロードマップが明かされていました。

当時は、d払い(iD)という名はそのままに、d払い残高から支払える仕様を取り入れようとしていたようです。また、その際にはiPhoneへの対応も計画として明かされていました。いずれも、d払い(iD)の第二弾として予定されていた機能です。

その間、d払い側もアプリのデザインをリニューアルしたり、決済音を導入したりとさまざまな動きがありましたが、待てど暮らせど、d払い(iD)の第二弾がローンチされる気配がありませんでした。

結果として、4年強の時間が経ち、ようやくd払いタッチとして当初のロードマップどおりの機能を実現できた格好です。その間、筆者はd払い関連の発表会や取材があるたびに「第二弾はいつなのか」と突っ込んでいましたが、ついにその質問をすることもなくなり、一抹の寂しさを感じています(笑)。

▲2023年には、アプリのデザインも大きくリニューアルされたが、d払いタッチに相当する機能は棚上げになったままだった

最大の特徴は、携帯電話料金の合算に加え、d払いの残高やdポイントを支払先に選択できるようになったこと。

残高が一元化され、お金の管理がしやすくなりました。後払いがいい場合は、従来どおり携帯電話料金に乗せていけばいいだけ。

さらに、その枠もd払いのものがそのまま適用されるため、5000円~3万円が上限で使いどころが限られていたd払い(iD)よりも、利便性が上がっています。

また、あまり意味はないかもしれませんが、dカードを支払いのソースにすることもできます。

▲アプリで支払い方法を変更すると、d払いタッチもこれに連動する。ただし、コード決済とは異なり、dカード以外のクレカは利用できない

一言で言えば、d払いにきちんと統合されたことで、コード決済と同じように複数の支払いソースから選択が可能になったということ。これによって、例えばコード決済を導入していない店舗や自販機などでも、d払いによる支払いが可能になります。

AndroidはiD決済時に画面を点灯させる必要すらないので、スマホ本体をかざすだけでOK。手軽さゆえに、コード決済のd払いに対応している店舗でも、d払いタッチを使いたくなってきます。バーコードを表示する必要もないため、皮肉なことに、パケ詰まりしていても支払いができて安心です。

細かな点では、前身とも言えるd払い(iD)とiDを管理する仕組みも変わっており、Googleウォレット上でカードの発行する形になりました。

これまでは、(起動が遅くてカードの切り替えもしづらく、たまに更新や機種変更に失敗する)iDアプリ上で発行していたため、操作性がイマイチでした。

よりユーザーインターフェイスがこなれたGoogleウォレット管理になることで、扱いやすくなっている点も好印象です。ドコモ回線以外のユーザーも利用できるようになりました。

▲d払いタッチは、管理をGoogleウォレットでできるようになった。iDアプリと比べて操作感もよく、直感的に扱える

これらに加えて、オンラインでのショッピングに利用できるd払いバーチャルカードも発行されます。こちらは、いわゆるプリペイドカードのようなもの。

物理カードはなく、ネットショッピングをする際に、カード番号や名義、セキュリティコードを入力する形で利用します。こちらも、d払い残高や携帯電話代との合算払いが可能となります。

iDとバーチャルカードで、リアルな店舗と同時にネットの店舗にもそのカバー範囲を一気に広げたと言えるでしょう。

▲バーチャルカードも発行され、ネットショッピングで利用できる

さらに、ドコモはd払いタッチの開始に合わせて20%還元キャンペーンを開始しています。還元額の上限はdポイント1500円ぶん。単純計算で、7500円を支払うとこの上限に達します。先着エントリー10万名限定ですが、単純にd払いタッチで支払えばいいだけなのでかなり太っ腹。Androidで、d払いを普段から活用しているユーザーは、このキャンペーンに乗らない手はないでしょう。

一方で、d払い(iD)導入時にロードマップで第2弾の進化としていたiPhoneへの対応は、まだ実現されていません。

Googleウォレットと同様、Apple Payも、アプリからカードを発行する仕組みはあり、メルペイやau PAYプリペイドカードなどは、これを使ってiDやQUICPayとコード決済の残高を共有しています。d払いも、これと同様のことはできるはず。iPhoneはシェアも高いだけに、早期の対応を期待したいところです。

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