パラダイム Ai スモーク MAX ドライバーを筒康博が試打「『仮面ライダー』的進化」

噂の“SMOKE”スタンダードモデル ご意見番クラブフィッター評価は!?

25万人分、総数100万以上のスイングデータを元に開発されたAiスマートフェースを搭載したキャロウェイ「パラダイム Ai スモーク」シリーズ。今回はドライバー4機種の中から、飛びとやさしさを両立したスタンダードモデル「パラダイム Ai スモーク MAX ドライバー」をピックアップする。“煙(SMOKE)が立つほど速いスピード感”を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?

「アノ衝撃から1年… “リニア”にブレにくさが加わった」

「ミスヒットしても曲がり幅が小さい」と筒

―率直な印象は?
「昨年発売の『パラダイム』シリーズは、左右だけではなく上下の慣性モーメントの高さによって、すごく初速感を得られる飛びに衝撃を受けました。今作は更にそこに“ブレにくさ”が追加された性能に感じます。フェース面のどこでヒットしても曲がらない。逆を言うと、ドローやフェード弾道で曲げようとしても、曲がらずにそのまま突き抜けていく感じ。直進性の高さで飛ばせる印象を強く受けました」

スタンダードモデルの直進性に驚き

―前作は「“新幹線→リニア”に進化した」と評価しましたが?
「そうなんですよ(笑)。確かに前作は、新幹線からリニアモーターカーに乗り換えたレベルの進化を感じました。今作は同じ『パラダイム』という冠がモデル名に付いている以上、リニアから宇宙ロケットになるほどの大革命はないのですが、同社が考える寛容性を最大値まで上げたモデル。昨年購入したゴルファー向けというよりは、『パラダイム』シリーズを購入したことがない人や振ったことがない方のために、前作の兄弟モデルというか、新たな仲間を増やした印象。昭和な表現でいえば、『仮面ライダー』1号2号を受け継ぐV3が誕生した感じです」

気になるのは“SMOKE”の浸透性

―前作の衝撃が大きすぎて、今作はそれほどでも…?
「正直、昨年の衝撃が大きすぎたということは否めませんが、毎年毎年そう簡単に革命を起こすことは至難の業です。前作は、飛距離でも方向性でも、性能面では文句の付けようがないレベルでしたが、今作のカラーリングのほうがスッキリ見え、引き締まった形状が好きという声も多いと思うので、そんな人にもフォローできるシリーズが完成したといえます。ただ、前作が好きだった人には“SMOKE”という文字に対してハテナ?になる人も、煙模様のデザインに抵抗を覚える人もいるかもしれません」

“2本の柱”を搭載せずとも衝撃に耐え得る肉厚フェースに

―打感は変わりましたか?
「Aiフェースのイメージ、また情報に洗脳されているだけかもしれませんが、打感はかなり変わった気がします。ただ、カーボンボディによる変化というよりは、チタンフェースの気持ちいい弾き感と食いつき感が増した感じ。『エピック』シリーズから始まった“2本の柱(ジェイルブレイク テクノロジー)”を搭載していた頃よりも、好みの打感に変化しています。金属感のある弾きと食いつき感が両立されたフィーリング。直近10年間での同社ドライバーの中では、一番好きな感触かもしれません」

左から「MAX」「MAX D」「MAX FAST」「◆◆◆」

―同シリーズの他3モデルとの違いは?
「『―MAX D』は直進性も含めて、ほとんど『―MAX』との差はない印象です。ドローバイアスが効いているとか、つかまり具合がすごく強いわけではなく、バックウエートで調整できるか固定式かの違いだけ。『―MAX FAST』は、軽量モデルの中ではとても直進性が高く、シャフトの重量帯が合っている方が使えば驚くほど飛ぶのではないかと思います。『―◆◆◆』は、キャロウェイ好きではない方でも一番構えやすいと思えるサイズ感とシルエットですが、私のHSではスピン量が足りず、ボールは上がり切りませんでした」

さまざまなレベルとHSに対応するスタンダードモデル

―他社でいうと類似モデルは?
「最大のライバルは、他社ではなく昨年発売の『パラダイム ドライバー』ではないでしょうか。マークダウン(値引き)した前作か、定価の新作か――。私の周りにも悩んでいるゴルファーはたくさんいますが、多いに悩んでほしい。それほど高次元で性能の違いがない両モデルとなっています。左右の曲がり幅は確実に減ってはいますが、その微小な差と値段を天秤(てんびん)にかけてどっちを選ぶかは、正直プレーヤー次第ではないでしょうか」

ライバルは“1号”前作『パラダイム』

―どのような人向き?
「ドライバー自体の購入が3年ほど空いている方は、全員ターゲットになるでしょう。同社ファンだけでなく、ピン、テーラーメイドといった他社から出ている新商品と比べて、どれが良いか悩んでいる人には、絶対に候補に入れてほしい。今、お店に行けば必ず勧められる一本ではあると思うので、勧められるがままに試打を行ってください。見た目やメーカーに抱いているイメージ、テクノロジーに対する先入観を持たず、純粋に打った球筋で比べていただきたいです」

打感と寛容性が満点◎ あとは好みの問題か【総合評価4.5点】

【飛距離】4.5
【打 感】5.0
【寛容性】5.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.0

・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:TENSEI 50 for Callaway(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

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