長期化する『避難生活』…静岡市が支援する「公営住宅」を取材 /能登半島地震の教訓

被災地では不便を強いられる避難生活が長引いています。石川県七尾市では仮設住宅の建設が始まっています。

片山真人アナウンサー(20日):「仮設住宅は閑静な住宅街の一画、市の公園だった場所に建てられます」

時折雨が降る中、作業員が入り、測量器具などを使って建設予定地で行われる作業。4万棟以上の住家に被害が出た石川県ですが、七尾市では第1弾として30戸の仮設住宅の建設が始まりました。

建設場所は七尾市が管理する公園で、そのほか中学校の跡地や市民センターの跡地の提供も決まっています。

仮設住宅の建設は県が主体となり、市が場所を提供。七尾市は、すべての避難所の住民に仮設住宅への入居希望のアンケートを取っていて、集計結果に合わせて石川県にさらなる建設を要望する方針です。

1カ月ほどで完成する予定だという仮設住宅。一方で、震災発生時には迅速に入居ができる「公営住宅」という存在もあります。南海トラフ巨大地震が想定されている静岡県内ではどのような設備があるのか? その実態を取材しました。

静岡市も市営住宅の提供始める

能登半島地震によって避難所での生活を余儀なくされている人は、19日時点でおよそ1万人。こうした中、石川県以外で避難生活をするための公営住宅の提供が全国各地で始まっています。静岡市でも市が管理する市営住宅20戸の提供が始まりました。

静岡市住宅政策課 西野谷友紀主任主事「こちらになります。(部屋に入っていく)」
Q.間取りは?
A.「こちらの間取りは2DKになります」

こちらは静岡市葵区にある市営団地。その中の空き部屋を能登半島地震の被災者に提供することになりました。

間取りは提供する部屋によって異なりますが、3LDKの部屋などもあるといいます。

静岡市住宅政策課 西野谷友紀主任主事
Q.エアコンはどう?
A.「エアコンの備え付けはないので、暖房器具はご自身で用意していただくことになる」

Q.上を見ると照明はついている
A.「はい、照明はご用意させていただきました」

他にも風呂場やトイレは備え付けられているものの、洗濯機などの家電や家具は自身で用意する必要があるそうです。

静岡市住宅政策課 西野谷友紀主任主事:「静岡市内で災害があった場合に用意している部屋というのは元々あるが、そういった部屋を、(今回の被災者に)優先的に順次当てはめていくという形になっている」

元々、「公営住宅」は所得の低い人など、生活や住まいに困っている人などに対して、県や市が管理して貸し与えるものです。静岡市が管理する「公営住宅」は市内におよそ6800戸、空きがある部屋の中から20戸を能登地震によって住宅が全壊したり半壊したりしてしまった被災者に提供するということです。

静岡市住宅政策課 西野谷友紀主任主事:「最初の申し込みで6カ月間の期間となっている。復興の具合によって、まだ戻ることができないという場合であれば、1年間まで延長することができる」

入居の際には本人確認や罹災証明書が必要となりますが、被災者に対しては、光熱費や駐車場代などを除いた、敷金と家賃が免除されます。

静岡市にはまだ問い合わせがないということですが、今後申し込みが増えてきた場合には提供可能数を増やすことも検討しているそうです。

静岡市住宅政策課 西野谷友紀主任主事:「少しでも早く、不安を取り除いていただけるように順次、こちらの方でご案内していくので、お問い合わせはどんどんいただきたいなと思う」

県内の状況は

県内では他の市町でも能登半島地震の被災者にむけて公営住宅を用意しているということで、静岡県によると、26の市町で合わせて173戸用意したということです

また、県が管理している県営住宅では47戸の用意があり、そのうち島田市にある県営住宅に1世帯が20日から入居しているということです。

今回の能登半島地震で提供された「公営住宅」。もし県内で大地震などがあった場合にはどうなるのでしょうか。

静岡市住宅政策課 西野谷友紀主任主事:「静岡市内の市営住宅で安全性が確認されている場所。それで提供することができる部屋があれば、そちらの方も考えていくかと思うが、やはり静岡市内も混乱するので、他の自治体にも今回と同じように提供していけるところにご案内していくのかなと思う」

今後の課題は

市内にある団地は古いものも多く、そのような団地をいかに長く維持していくのかが、今後の課題になるといいます。

静岡市住宅政策課 西野谷友紀主任主事:「いかに住んでいる方が安全に長く住まわれる、環境整備というのはこれからも続けていくような形になります」

(1月25日放送)

© 静岡朝日テレビ