JR津軽線一部区間 存廃巡り初の首長級会合 「転換」「復旧」意見食い違う

JR津軽線沿線市町村長会議で意見を述べる(左から)阿部町長、山崎町長、久慈村長=1日、外ケ浜町役場

 2022年8月の大雨被害の影響で運休が続くJR津軽線・蟹田-三厩間(28.8キロ)の存廃協議を巡り、津軽線沿線4市町村、青森県、JR東日本は1日、外ケ浜町で首長級会合を初めて開いた。外ケ浜町の山崎結子町長はJR東が提案するバス、乗り合いタクシーへの転換に賛成、今別町の阿部義治町長はJRの全額負担による鉄路復旧をあらためて主張した。今後、本格的な協議が進められるが、結論を出す時期は現時点で見えていない。

 会合には、両町長をはじめ蓬田村の久慈修一村長、青森市都市整備部の清水明彦部長(西秀記市長の代理)、小谷知也副知事、JR東の久保公人盛岡支社長が出席。東北運輸局鉄道部の岩淵正宏次長も参加した。

 山崎町長は、運行本数を減らさないなどの条件を前提にバス、タクシー転換への賛成を表明。阿部町長は今別町が建設実現を目指す「第2青函トンネル」の工事が始まれば物流が増える可能性があり、貨物路線として津軽線の重要性が増すとの持論を主張。災害時に津軽半島の集落が孤立するのを防ぐためにも鉄路が必要と強調した。

 小谷副知事は鉄路復旧を原則としつつ「利用状況や住民の意向を重視し、最善の方策を見つけるべき」と述べた。バス、タクシーに転換した場合、カーブや坂道が多い小国峠の冬場の定時運行や安全性が懸念されていることから、鉄路の代替手段として現在同区間を運行中のバス、タクシーの運行状況の提示を求めた。

 会合後の取材に対し、山崎町長は「一日でも早く結論を出したい」との考えを示した。一方、阿部町長は「(結論を出す)時期は設けない方が良い」との姿勢。津軽線の在り方を問う今別町民へのアンケートで、バス、タクシーに転換するべきとの回答が6割を占めたが「(全世帯に対する)回答率が半分程度でデータが少ない。アンケートの結果に左右されることはない」と述べた。

 存廃を巡っては、これまで今別、外ケ浜両町、県、JR東が昨年1月から約1年間で計8回の担当者会議を開き、議論の方向性をバス・タクシーへの転換、鉄路復旧など4案に集約。今回から首長級会合に移行した。

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