EU、540億ドルのウクライナ支援合意 米の決定に期待

Charlotte Van Campenhout Andrew Gray Andreas Rinke Olena Harmash

[ブリュッセル/キーウ 1日 ロイター] - 欧州連合(EU)は1日、500億ユーロ(540億ドル)のウクライナ向け支援について全会一致で合意した。首脳会議の議長を務めたEUのミシェル大統領が明らかにした。

反対してきたハンガリーのオルバン首相が説得に応じた。

ミシェル大統領は短文投稿サイト「X」(旧ツイッター)への投稿で「われわれは合意した。27カ国全ての首脳が、EU予算の範囲内でウクライナに500億ユーロの追加支援を行うことで合意した」と述べた。

ハンガリーからのコメントは得られていない。

EUの執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、ウクライナ追加支援を巡る議会協議が難航している米国への「励まし」になるだろうと述べた。

ミシェル大統領も「EUが責任を果たしていることを明示する」と同時に、米国でのウクライナ支援を後押しする「米納税者へのシグナルになる決定と確信している」と述べた。

ポーランドのトゥスク首相は、EU諸国が妥協のない団結した姿勢を示したことでオルバン首相が説得に応じ今回の合意に至ったとの見方を示した。

<ゼレンスキー氏「明確なシグナル」>

ウクライナのゼレンスキー大統領は今回の合意を歓迎。ロシアと米国の双方に対するシグナルだと述べた。

夜間のビデオ演説で「欧州は断固として立ち向かい、ロシアによって立案されたいかなる破壊的な波にも打ち負かされることはない」と指摘。「同時に、欧州がその責任を引き受けるという、大西洋を越えた明確なシグナルでもある。安全保障の責任。強い責任。米国の決定を待つ」と語った。

ウクライナのユリヤ・スヴィリデンコ第一副首相兼経済発展・貿易相は、ロイターとのインタビューで「マクロ経済の安定維持がわれわれにとって非常に重要だ。これは経済成長の前提条件だ」と指摘。「この安定を維持するにはパートナーの援助が重要だ」とし、米国が欧州からの支援に続くことを期待しているとした。ウクライナ政府は今回EUで合意された4年間で500億ユーロの支援のうち180億ユーロを今年受け取ることを見込んでいるという。

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