米、ヨルダン川西岸入植者の暴力に制裁 イスラエル反発

Steve Holland Susan Heavey Daphne Psaledakis

[ワシントン 1日 ロイター] - バイデン米大統領は1日、ヨルダン川西岸地区でパレスチナ人を攻撃したユダヤ人入植者に制裁を科す大統領令を発令した。国務省は第1弾として入植者4人を制裁対象に指定した。イスラエルのネタニヤフ首相の政策に対し、米国が不満を強めていることを示した形だ。

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は声明で、大統領令はパレスチナ人に対する攻撃や脅迫、パレスチナ人の財産の強奪などを行ったことが判明した個人に対し、金融制裁とビザ制限を課すシステムを確立するものと説明。今回の措置によってイスラエル人とパレスチナ人の平和と安全が促進されるとした。

対象の4人は米資産が凍結されるほか、米国人との取引が禁止される。

国務省は昨年12月、ヨルダン川西岸地区の平和や安全、安定を損なう行為に関与した個人に対するビザ発給を禁止すると発表していた。

ブリンケン国務長官は声明で「イスラエルはヨルダン川西岸で民間人に対する暴力を阻止し、責任を追及するために一段の措置を講じる必要がある」とし、イスラエルと将来のパレスチナ国家が共存する「2国家解決」の実現可能性を含め、「米国の外交政策目標推進に向けた行動を取り続ける」と強調した。

バイデン氏や政権高官は、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植者による暴力を阻止するようイスラエルに繰り返し求めてきた。ある高官によると、バイデン氏はネタニヤフ首相にこの問題を直接提起したという。

米国務省のミラー報道官は記者会見で、米政府が入植者による暴力の記録をイスラエル側に提示し、イスラエルが対応した事例もあると説明。こうした介入から約2カ月で暴力が減少したと述べた。

同時に「これで終わりではない」とし、米国籍の入植者も含め今後さらに制裁対象を追加する可能性を排除しなかった。

イスラエル首相府は全ての違法行為に対し行動を取っているとし、制裁は「必要ない」と反発した。

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