国交省/一人親方の規制逃れ抑制へ官民で取り組み、働き方チェックリスト活用など

国土交通省が規制逃れを目的とした「偽装一人親方」の抑制に向け官民で取り組む内容をまとめ、1月31日に開かれた「建設業の一人親方問題に関する検討会」(座長・蟹澤宏剛芝浦工業大学教授)で了承された。年度内にも建設業団体らと申し合わせる。一人親方と雇用労働者を線引きする「働き方自己診断チェックリスト」の現場活用などを2024、25年度に推進。「適正でない一人親方の目安」を年齢や経験年数に加え、技能レベルも加味した上で26年度以降に策定し、現状より踏み込んだ実効性の高い方策を講じる。
国交省が22年4月に改定した「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」では、社会保険加入や労働関係法令などの規制強化を背景とした一人親方化に歯止めをかけるため、26年度以降の目安策定を視野に入れ、23年度末にチェックリストの活用の在り方などで一定の道筋を示すと明記していた。23年11月から実施した一人親方本人を対象とした初の実態調査の結果も踏まえ現状の課題を整理し、今後の取り組み内容に反映させた。
一人親方と建設企業の適正取引も同時に推進。実態調査では一人親方との請負契約で労災保険の特別加入や資機材などの必要経費が反映されていない可能性が浮き彫りとなった。建設業団体には見積もりの提出や書面契約の徹底を働き掛ける。
チェックリストは▽依頼への諾否▽指揮監督▽拘束性▽代替性▽報酬の労務対償性▽資機材などの負担▽報酬の額▽専属性-の8項目で働き方を確認する。検討会では現場での活用促進に加え効果的な使い方を検討する余地があると指摘する声があった。個別ケースの判断の難しさから、厚労省を交え相談体制を構築したり、建設業の特性を踏まえた事例集を作成したりする提案があり、確認作業に建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用するなど現場の事務負担の軽減を要望する元請団体もいた。
業界内には目前に迫る時間外労働の上限規制の適用が、偽装一人親方の増加を助長するのではないかとの懸念がある。下請団体からは、偽装一人親方を抱える企業を野放しにしないよう規制を強化し、現場入場を認めないような措置を講じるよう訴える声があった。

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