激化する国際ロケット競争…多くの大国が開発を進めるなか日本の現状は?

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月~金曜6:59~)。「New global」のコーナーでは“世界のロケット競争”について取り上げました。

◆日本のロケット打ち上げ数は世界の2.3%

2023年12月12日、世界のロケット市場で群を抜くアメリカの「スペースX」が保有株を売り出すとの報道がありました。その企業評価額はおよそ1,800億ドル(約25兆円)で、非上場企業では世界最大規模。それだけこのスペースXには価値があり、さらなる成長性も見込まれていることがうかがえます。

この数字に、キャスターの堀潤は納得の様子。というのも、年間60回以上のロケット打ち上げに成功し、まだまだ問題はあるものの人が乗れる宇宙船「スターシップ」を開発中。さらに、国家に代わって軍事衛星を打ち上げるサービスなど、宇宙にまつわるさまざまな事業を多角的に展開しているから。

そうしたなか、現在、世界の人工衛星打ち上げ競争は加速しています。経済産業省が出している資料によると、世界の人工衛星の打ち上げ数は2020年代に入って急増。その先頭を走るのはアメリカで、次いでロシア、中国、そしてイギリスと続き、日本はというと世界レベルでは全体の2.3%の301機と大きく後塵を拝しています。

一方、ドイツはこのロケット競争に参加していないような状況で、ドイツ公共放送プロデューサーのマライ・メントラインさんは「EUでなんとかしようという動きがある。一緒にやればなんとかなるかもしれないが、やはりお金の問題が難しい」とその背景について言及。

元裁判官で国際弁護士の八代英輝さんは、「日本は細部の技術は得意な部分があるが、今はどこもコストダウンを図っており、そこでクオリティを維持するのが非常に難しい」と日本の苦しい現状に触れつつ、「そうしたなかで、失敗が続くとみんなの開発意欲、宇宙への夢が閉ざされてしまうので、ここはなんとか頑張ってほしい」と日本のロケット開発者たちに向けてエールを送ります。

◆日本が開発する新たなロケットとは?

日本では昨今、小型化、さらには固形燃料を使用し、打ち上げコストを削減した「イプシロンS」を開発。ロケットをより手軽に、みんなでシェアできるような形にしようと奮闘していますが、「イプシロンS」とともに日本ロケット業界の期待を背負っているのが「H3」です。

これは、ロケットの打ち上げをより簡単にし、打ち上げ回数を増やすべく、部品を全て一から作るのではなく、「イプシロンS」をはじめ自動車などの電子部品を共用しているそうで、そうすることでコストも大きく削減可能。

現在は再打ち上げに向けて準備を進めているところですが、堀は「オールジャパンで作っているこのロケットを、安定的に打ち上げられるようになることが、日本のものづくり産業の信頼と復活なのかなと思う」と期待を寄せます。

一連の話を聞き、食文化研究家の長内あや愛さんは「すごく夢のある話。宇宙の話は遠い話で、民間人が宇宙旅行に行くなんて小さい頃は夢のまた夢でしたが、もう今はそうじゃなく、この話がどんどん進んでいけば、日本でもロケットの開発に成功して、世界を牽引する日が来るかもしれない」と目を輝かせていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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