不登校、学びの場を拡充 教育センター、岩手県立図書館に分室

県立総合教育センター内にある教育支援センター「ふれあいルーム」。県教委はアクセス向上のため、盛岡市内に分室を設ける方針を固めた=花巻市北湯口

 学校に通えなくなった子どもたちが岩手県内で増加傾向にある中、県教委は2024年度、不登校児童生徒の支援策を拡充する方針を固めた。高校生の学習を支えるため花巻市に設けている教育支援センターの分室を、盛岡駅に近い盛岡市の県立図書館内に開設する。アクセスを向上させ「誰一人取り残さない学び」の実現につなげる。

 花巻市北湯口の県立総合教育センター内にある教育支援センター「ふれあいルーム」。机に向かう男子生徒は「職員の方が合間を見て声をかけてくれる。ここで勉強できて良かった」と明るい表情を見せた。

 教育支援センターは、在籍する高校での進級や卒業を望む生徒が通う。在籍校から与えられた課題にセンターで取り組み、単位認定を受けることもできる。これには保護者、在籍校との連携が欠かせず、センター職員が生徒の取り組みを見守り学校へ報告する。

 高校生向けの教育支援センターは花巻の1カ所のみだが、最寄りの駅から車で15分かかり、路線バスの本数も少ない。施設運営を担当する熊谷宗紀主任研修指導主事は「センターを知っていても、物理的に来られない生徒もいるのではないか」と心配する。

 県南に加え、盛岡市内に分室を置くことで、県北、沿岸を含めた全県からのアクセスを向上させ、学校外の居場所と結びつく生徒を増やす狙い。分室では教員経験がある自立支援相談員らが学習支援、相談業務に対応するとみられる。

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