600時間費やす冬の仕事がおいしい茶生む 京都府城陽市でわらを材料に伝統の「こも」編み

手際よく「こも」を編む古川正子さん(京都府城陽市)

 茶の新芽を直射日光から守る覆い「こも」を編む作業が、京都府城陽市の茶農家古川真章さん(38)宅で進んでいる。茶が芽吹く春に向けて、母の正子さん(72)が伝統的な手法でわらを少しずつ編み上げている。

 こもは、1枚が幅1メートル、長さ5メートルほど。覆いで日光を遮ることで茶の苦みを抑え、うま味を引き出す効果がある。近年は化学繊維の寒冷紗(かんれいしゃ)を使うのが一般的で、こもを作る農家は珍しい。真章さんは抹茶の原料となるてん茶を栽培しており「こもには温度を一定に保つ効果が高い。茶がストレスなく育ち、おいしくなる」と話す。

 こも編みは昨年12月中旬に始まり、正子さんが「こやしまた」という木製の台に向かって作業を続けている。わらを数本ずつ束ねて台に置き、ビニールひもで結わえていく。1枚を編み上げるのに約4時間かかるという。

 150枚を目標に仕上げる。正子さんは「大変だけど、冬場の私の仕事です」とほほ笑んだ。

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