年金受給額はこの5年間でどのように推移している? 年金以外に老後資金を用意する方法は?

老齢年金の受給額はどのくらい?

公的年金のうち、令和元年から令和5年までの老齢基礎年金の受給額(満額)は図表1、老齢厚生年金の平均受給額(65歳以上)は図表2のとおりです。

【図表1】

日本年金機構「令和2年4月分からの年金額等について」「令和3年4月分からの年金額等について」「令和5年4月分からの年金額等について」より筆者作成

【図表2】

厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より筆者作成

令和元年と令和5年の老齢基礎年金の月額受給額を比べると、5年間で1242円増えています。老齢厚生年金の月額平均受給額(65歳以上)を平成30年と令和4年で比べると、男性は5354円減っており、女性は409円増えています。

年金の支給開始年齢が70歳に引き上がる可能性が高い

2024年1月現在、年金を受け取り始める年齢は原則として65歳からです。しかし、ここ数年間において、年金財政問題への対策として支給開始年齢の引き上げに関する議論がされています。将来的に年金の支給開始年齢が70歳に引き上げられる可能性もあり、その場合は老後資金の計画が大きく変わることを余儀なくされるでしょう。

国民年金保険料の金額は年度により異なる

この5年間の国民年金保険料の変遷は図表3のとおりで、年度によって金額が異なります。

【図表3】

日本年金機構「国民年金保険料の変遷」より筆者作成

平成31年4月~令和2年3月が1万6410円なのに対し、令和5年4月~令和6年3月は110円増えて1万6520円とあります。ただし、この5年で国民年金保険料がもっとも高かったのは、令和3年4月~令和4年3月の1万6610円となり、令和5年4月~令和6年3月と比べて90円ほど高い金額です。

年金以外に老後資金を用意する方法

年金以外に老後資金を用意する方法は以下のとおりです。

__●働けるうちは働く
●個人年金保険に加入する
●iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAの活用__

多くの人は、老後資金を年金でまかないたいと考えるでしょう。しかし、年金受給額が将来的に減る、支給開始年齢が70歳になることなども想定できます。年金に過度の期待をせず、その他の方法でも老後資金を蓄えることを検討しておくと安心です。

働けるうちは働く

定年退職後も、再雇用や再就職などで働くことを検討してみてください。厚生年金の被保険者期間が長くなれば、その分だけ受け取れる老齢厚生年金を増やせるからです。また、年金と就労によって得た収入で生活すれば、定年退職後の生活が安定して毎月の家計から赤字が出ないようにすることを期待できるでしょう。

個人年金保険に加入する

個人年金保険は、個人が任意加入する私的年金制度の一つで、公的年金が不足する場合に備えられます。60歳や65歳といった所定の年齢まで保険料というかたちで積み立てを行い、契約時に定めた受取開始時期になったら、積立金をもとに一定期間または終身にわたって年金を受け取る仕組みです。

iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAの活用

非課税で運用できる少額投資非課税制度のNISA、iDeCo(個人型確定拠出年金)といった方法を活用するのも、老後資金を効率よく用意するための方法の一つです。就労による収入、預金だけで老後資金を用意するにしてもその金額には限界があるでしょう。

年金以外の方法でも老後資金対策を検討しよう

年金受給額は、その年によって異なります。5年前と現在で比べてみると、老齢基礎年金は1242円増えています。一方、老齢厚生年金は男性が5354円減っており、女性は409円増えている状況です。ただし、将来的に年金の受取開始年齢が70歳までとなることや、受け取れる年金額が減る可能性もあります。年金は老後生活を支える貴重な資金ですが、年金だけに頼らず他の方法でも老後資金対策を検討しておくのが安心でしょう。

出典

日本年金機構 令和2年4月分からの年金額等について
日本年金機構 令和3年4月分からの年金額等について
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
厚生労働省年金局 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 国民年金保険料の変遷

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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