カープの大野練習場と大野寮がちゅーピープールに移転計画! 「カープが強くなるため」に動いた行政と企業の意図をプレゼン!【アナたにプレゼン・テレビ派】

【動画】カープ大野練習場と大野寮が『ちゅーピープール』に移転計画

広島テレビのアナウンサーが気になるテーマを自ら取材してお伝えする『アナたにプレゼン』。宮脇靖知アナウンサーが、カープの大野練習場と大野寮の移転についてお伝えします。

海側に面した大野練習場から、北西に直線距離で500メートルほど離れた場所に『ちゅーピーパーク』があり、この中に移転する計画が上がっています。現在の大野寮の練習場敷地が、大体8000平方メートルで、ちゅーピープールが2万平方メートルということから、およそ倍ぐらいの大きさの施設に生まれ変わります。ちゅーピーパークと大野練習場は、どんな場所だったのでしょうか。

この場所は、『チチヤスハイパーク』というレジャー施設でした。旧チチヤス乳業が1964年に開園し、多くの家族連れで賑わうレジャー施設でした。施設の中には『チチヤスダイヤモンドプール』というプールがあり、夏の夜にはナイトプールを開園していた時期もありました。

『ダイヤモンドプール』は、2007年にリニューアルして、『ちゅーピープール』となりました。2004年から、中国新聞社が旧チチヤス乳業から土地を購入し、ちゅーピーパークが誕生しました。その中にプールが開園し、夏には多くの人が楽しむ場所に、今もなっています。

そして、この場所に今回移転の計画があるのが、カープの大野練習場と大野寮です。大野練習場は、1980年に完成した屋内総合練習場です。完成の前年の79年、そして80年と、2年連続でカープは日本一に輝いており、落成式も豪華だったそうです。この練習場では、山本浩二さんや衣笠祥雄さんなど、当時のカープの主力も、この練習場でシーズン前などに自主トレをしていました。

そして1984年に、合宿所として大野寮が誕生し、入団したばかりの選手たちが入寮しました。104号室は、いわゆる「出世部屋」として広く知られており、メジャーリーガーの前田健太投手や、大瀬良大地投手など、エースたちが過ごしました。そして、ドラフト1位の常廣羽也斗投手も「出世部屋」に入りました。数々の名プレーヤーが過ごした大野寮も移転する計画になっています。

今回の移転は、廿日市市・広島東洋カープ・中国新聞社の3者の連携協定によって計画されています。大野練習場と大野寮、さらにはトレーニング施設を移転するカープ、ちゅーピープールのあるちゅーピーパークを所有する中国新聞、その両者を繋いだのが廿日市市で、3者の利益を最大化していきたいという思いを持っています。

カープの松田元オーナーが、「敷地を広くしたい」と話した通り、移転を決断した一番大きな理由は、現在の敷地の狭さです。他球団と比較してみても、手狭に感じているのが現状です。時代が進み、様々な施設などができる中で建て替えとなると、敷地が一番大事になります。特に重視したいのは、トレーニングやリハビリ、それに加えてテータ分析で、こういった施設も兼ね備えたいそうです。選手のスキルアップに繋がる場所として、将来の野球のためにも、この施設が重要になってくるということです。

ファンと選手との距離が、コロナ禍で少し離れたように感じるそうで、練習の見学やサインをしてもらえる機会を作ったり、大野寮でこれまで食べられてきた食事を提供し、一般の人が食べられるような場所も作っていきたいと考えているそうです。

中国新聞社としては、ちゅーピープールは老朽化している部分があり、ダイヤモンドプール時代から数えると、2024年で61年目となります。メンテナンスをするのにもお金がかかり、経営状況を考えると、なかなか難しい状況にあったそうです。そして、最新の施設でカープが強くなることによって、地域のためになるのであれば喜ばしいということです。

廿日市市は「スポーツを核にしたまちづくり」をすることを掲げ、特に野球を中心に盛り上げたいという思いがあるそうです。全国のカープファンが集まることによって、「女子野球タウン」に2020年認定されているので、認知度の向上に繋がって欲しいそうです。さらに、観光コンテンツとして、2029年に平良地区にホテルや温浴施設などを含めた観光施設の開業を予定しているので、宮島などとの相場効果もはかっていく「街おこし」という面もあるとのことです。

今後の予定として、2024年の夏でプールの営業は終了し、解体に移るとのことです。造成工事にしっかりと時間を取り、建築工事に着工するのが2028年、そして2029年末に完成予定となります。ファンと選手の距離が、ぐっと縮まる場所になっていきそうです。

【テレビ派 2024年1月29日放送】

© 広島テレビ放送株式会社