被災地で心のケアを支援 DPAT隊 現地の経験を栃木県内へ

 災害派遣精神医療チーム・DPATとして被災者の支援を行った栃木市の病院の医師らが、とちぎテレビの取材に応じ現地での活動を振り返りました。

 DPATは、2011年3月の東日本大震災をきっかけに発足しました。精神科の医師、看護師、それに業務の調整を行う人で構成された専門チームで、被災地で精神科病院の患者の対応や被災者の心のケアを支援します。

 栃木市にある大平下病院の院長、関口秀文さんは、能登半島地震が発生してから2週間後の1月14日から5日間、多くの住宅が倒壊するなど被害が深刻だった珠洲市に入り被災者支援の最前線で活動しました。

 関口さんは、大平下病院の院長になる前の2019年10月、栃木県内も大きな被害を受けた東日本台風で、DPATの事務局員として当時この病院にいた患者全員の避難に携わりました。翌年には、新型コロナウイルスの集団感染が起きた大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で隔離された乗客らの支援活動を行っています。

 この能登半島地震では、これまでの経験にはなかった違いを感じたといいます。

 一方、看護師の渡邉円美さんは、被災直後の1月5日から3日間石川県に入り、全国から集まったDPAT隊を統括する本部で情報の収集や発信といった後方支援にあたりました。まだ余震が頻発し被災地が今より混乱している中で先遣隊としての役割をこなしましたが、時間の経過とともに新たなケアが必要になると考えています。

 大平下病院のDPAT隊が再び石川県に入る予定は今のところまだありませんが、関口さんらは持ち帰った経験を共有し、被災地に寄り添った支援を突き詰めていくことを思い定めています。

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