世界各国で高評価! 8強入りの森保ジャパンに「余力を残した勝利」「完成されたパフォーマンス」 一方で「杜撰な守備」の指摘【アジア杯】

1月31日に行なわれたアジアカップのラウンド・オブ16で、日本代表はバーレーン代表を3-1で下し、9大会連続での8強入りを果たした。

立ち上がりから攻勢に立った「サムライブルー」は、幾つかチャンスを創った後、31分に毎熊晟矢の強烈ミドルが左ポストにはね返されたところを堂安律が拾って先制。49分には久保建英が左サイドから持ち込んで中央に入れると、相手選手からの“リターン”をフリーで受けて加点する。64分にCKから相手のヘッド弾をGK鈴木彩艶がセーブし、浮き上がったボールをキャッチしようとした際にこれをクリアしようとした上田綺世と交錯し、ボールは後者の頭に触れてゴールラインを越えた。

上田のオウンゴールという形で今大会は全4試合で失点を喫した日本だったが、72分に敵陣深くでボールを受けた上田が巧みな前への抜け出しで3人の相手選手を置き去りにし、角度のない位置からのシュートを突き刺して汚名返上のダメ押しゴール。日本はその後も決定機を幾度も生み出しながら試合終了を迎え、強敵イランが待つ準々決勝(2月3日)に駒を進めることとなった。

AFC(アジア・サッカー連盟)は公式サイトで「4度の優勝を誇る日本がベスト8入り。森保一監督率いるチームは、後半途中に上田が自陣ゴールに頭で入れるというミスを犯す場面があったものの、ほとんど完成されたパフォーマンスを見せた」と伝え、またラウンド・オブ16の「チーム・オブ・ザ・マッチデイ」に毎熊、久保、上田の3選手(最多)を選定している。

また連盟のSNSでは、日本の戦いぶりを「強さを見せた」と評し、久保のゴールに対しては「正しい位置で、正しいタイミングでのファインゴール」と称賛。そして、68分に中村敬斗との交代で今大会初出場を果たした三笘薫が左サイドを見事なドリブルで抜け出したプレーは、大会スポンサー「Visit Saudi」の選定による「マジック・モーメント」として、その場面の動画が公開された。

各国メディアの報道を見ると、対戦国バーレーンの日刊紙『GDN』はこの一戦を、「日本が緻密なサッカーを披露して3-1の勝利。堂安のゴールでリードし、久保の賢明な判断でリードを広げる。GK鈴木と上田のミスでバーレーンに1点が入ると、4万5000人収容のスタジアムに集まった数千人のバーレーン・ファンが歓声を上げ、選手たちの足も軽やかになったが、それも長くは続かず、上田が強烈なシュートを放ち、GKエブライム・ルトファラの足を直撃しながら3点目を決めた」とレポートしている。
韓国のサッカー専門サイト『Inter Football』は、「最初から主導権を握った日本が先制ゴールを奪い、対してバーレーンは何もできなかった」と前半を振り返る一方で、「ペースを掴みながらも、相手に対して積極的にはプレッシャーをかけず、上田のヘディングシュート、堂安のゴールを除けば、退屈な攻防に終始した」と厳しい評価。全体的には、「久保の得点、三笘の復帰、3得点。これら全てが日本にとってポジティブな事象だが、GKへの不安はまだ解消されていない」と指摘した。
欧州では、イギリスの日刊紙『The Guadian』が「森保監督のチームは素晴らしいパフォーマンスを見せ、ほとんど問題を抱えているようには見えなかった」と称賛する一方で、「今回も無失点を達成できなかった」と守備面に言及。また、自国でプレーする三笘の復帰を「ボール捌きにおける機敏性とスピードで何度かチャンスを作り、見事な軽やかさで相手DFをかわし、アル・トゥママ・スタジアムを沸かせた」とポジティブに報じている。

フランスでは、サッカー専門サイト『maxifoot.fr』が「グループリーグではあまり説得力がなかったが、バーレーンよりもずっと優れていた日本は、堂安、久保、上田のゴールで3-1の勝利。サムライブルーにとっては余力を残しての勝利であり、彼らは土曜日にイランと4強入りを懸けて対戦する」と、日本にとっては楽勝だったと強調した。

イタリアのスポーツ紙『Gazzetta dello Sport』は、「アジアの準優勝チーム(前回)である日本が大半の時間を支配し、勝利を飾った。彼らのオウンゴールは、バーレーンが巻き返しを図るに足るほどではなかった」と試合を総括。また、上田のダメ押し弾については「見事なドリブルの後に地を這うミサイルを打ち込み、試合を締め括った」との表現で褒め称えている。

ドイツのスポーツ紙『Kicker』も上田の攻守でのプレーに注目し、「64分にオウンゴールが生まれ、アンダードッグ(バーレーン)を試合に戻した。守護神の鈴木が杜撰な守備の後、自陣ゴールからボールをかき出すことができず、最終的に上田の頭を経由したボールはゴールラインを越えた。しかし、このアタッカーはわずか8分後、今度は毎熊のパスから相手ゴールに足でボールを見事に突き刺し、オウンゴールを忘れさせた」と綴った。
一方、ブラジルの総合メディア『Globo』は、日本の全選手&監督を対象にした10点満点の採点による評価で、最高となる「7」を久保と堂安に与え、前者を「マン・オブ・ザ・マッチ」に選定。寸評では、「試合開始から日本の攻撃をリードする任を受け、68分に交代するまで非常に積極的であり、CKではもう少しでアシストを記録するところだった。そして49分には機敏さを発揮し、敵陣でのボール奪取から始まったプレーで2点目を挙げた」と彼のプレーを振り返っている。
久保については、所属するレアル・ソシエダの地元メディアである『noticias de Gipuzkoa』紙が「相手の守備の不確かさを利用し、非常に高い位置から2点目を決めた。副審はオフサイドだとして旗を上げたが、VARによって判定は修正された」と伝えたが、これで主力選手の復帰が遅れるため、「ソシエダは待つ必要がある」「ソシエダはあまり運がない」「リーグ3試合とカップ戦3試合を欠場……やはり厄介なことだ」と、複雑な心情を表わした。

なお、この試合の36分には旗手怜央が右ふくらはぎを痛めてピッチを去ることとなったが、スコットランドの日刊紙『THE SCOTTISH Sun』が「この負傷により、残りの大会を欠場する可能性があるため、バーレーン戦のプレーが日本への最後の貢献となったかもしれない。(所属する)セルティックのブレンダン・ロジャース監督は、このMFに関して日本代表から良いニュースが届くことを期待しているだろう」と、懸念を示している。

構成●THE DIGEST編集部

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