私の実家の墓に入りたいのですが、昔気質の夫に相談できません。坂東眞理子さんのすっきり人生相談

仕事、健康、人間関係、親の介護、老後のお金……50代からの人生には不安や迷いがいっぱい。そんな私たちに「ウィメン・ビー・アンビシャス。自分で自分の人生に責任と覚悟をもって生きていこう」とエールを送ってくれる坂東眞理子さんが、皆さんのお悩みを解決します。

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©️廣江雅美

プロフィール
坂東眞理子
ばんどう・まりこ●1946年富山県生まれ。東京大学卒業後、総理府(現内閣府)入省。埼玉県副知事、オーストラリア・ブリスベン総領事、内閣府初代男女共同参画局長などを務め、退官。現在、昭和女子大学総長。『女性の品格』『70歳のたしなみ』『幸せな人生のつくり方』など著書多数。

相談 ①
お墓のことを夫に相談できない

がんの手術をして終活を真剣に考えるように。特に気になるのはお墓(田舎なので、当然妻と夫は一緒の墓に入る風習)。昔気質の夫には言えないのですが、実は私はふるさとに愛着があり、実家の代々の墓に入りたいのです。夫が先に亡くなったら、籍を抜くつもりです。もし自分が先に亡くなったら、ちゃんと実家の墓に入れるか心配です。(68歳・主婦)

まず、実家の継承者に確認を。今は樹木葬など、墓の概念が変わる過渡期です

言い出しにくくても夫としっかり話し合いを

最近、お墓の問題に悩む人が多いようです。自分のほうが先に亡くなった場合、夫の実家側のお墓に入るのは嫌だけれど、夫は自分の生前の希望どおりにやってくれないような気がする、と。つまり、夫を信頼できないという人がけっこういるのだと思います。

相談者は自分の実家のお墓に入りたいとのことですが、実家側は受け入れてくれるのでしょうか。たとえば実家に兄と兄嫁が暮らしている場合、兄嫁さんとも同じお墓に入ることに関してはお互いにOKなのか。まずは実家側に確認する必要があるでしょう。

もし実家側が受け入れてくれなければ、合祀墓という選択肢もあります。複数の故人の遺骨をまとめて祀ってくれるお墓ですが、実家の近くに合祀墓のある寺院や霊園があれば、実家のお墓でなくても愛着のある故郷に眠ることができるはずです。

お墓についてはいろいろな考え方がありますが、最近は新しいお墓の形式として樹木葬も人気です。夫は先祖代々のお墓に入るつもりなのでしょうが、「今はこんなお墓がはやっているみたいよ」「2人で樹木葬にしませんか」ともちかけてみるのもひとつの手です。どちらかの墓と決めつけず選択肢を増やしましょう。

いずれにせよ、お墓問題は夫婦でしっかり話し合うしかありません。夫は昔気質とのことですから言い出しにくいかもしれませんが、ダメもとで夫と話をしてみてください。

相談②
体調不良で思いがけず退職した

更年期による体調不良で、昨年退職しました。以前は正社員でした。予期せぬ退職だったこともあり、今後の生活がとても不安です。今まで大病をしたことがなかったので、まさか更年期で人生の転機を迎えるとは……。また働きたいのですが、以前の職種や給与にこだわったほうがいいですか?(51歳・無職)

正社員にこだわらず、まずは就活をしましょう。前の職場にも「ふんわりと」相談を

50代からの就活は「相談力」を身につけて

体調不良とはいえ、51歳でのリタイアは早すぎると思います。とても不安でしょうけれど、これから頑張って就活してください。ただし、以前の職種や給与にこだわると、50代からの就活は難しい。自分の市場価値は下がっているという覚悟のうえで臨みましょう。

それでも今はいろいろな業界が人手不足。ニーズはたくさんあります。以前は正社員だったのが契約社員になったり、給与が少し下がったりすることには目をつぶって働く。会社は、まずは有期契約で働いてもらい、仕事を通してきちんとした人だとわかったら正社員に切り替える、というところが多いと思いますので、それをステップとして働き始めることが肝要です。

また、退職した元の職場も、もしかしたら人手不足で復帰してほしいと思っているかもしれません。何かあれば紹介してもらえるかもしれないので、ふんわりと相談してみるのがおすすめです。「食べていかなきゃいけないから仕事が必要なんです!」なんて要求する人は嫌われますが、「何かあったら思い出して紹介してください」と柔らかく相談しておくと、協力してくれる人は多いものです。

※この記事は「ゆうゆう」2024年2月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。


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