ギャンブル絡みの心無いヤジにテニス選手が試合中に激怒!「そんなことを言うなんて何様のつもりだ」<SMASH>

現在開催中の男子テニスツアー「南フランス・オープン・モンペリエ」(1月29日~2月4日/フランス・モンペリエ/インドアハードコート/ATP250)のシングルス2回戦で敗退した元世界ランキング18位のブノワ・ペール(フランス/現112位)が、記者会見で試合中に自身へヤジを飛ばしてきた観客に対して怒りをあらわにしたシーンについて詳細を説明した。

今大会初戦で元世界王者のアンディ・マリー(イギリス/49位)に逆転で勝利したペールは、2回戦で同郷の若手選手アロルド・マヨ(21歳/144位)と対戦。事件はペールがブレークを喫した直後の第1セット第3ゲームで発生した。

1ポイント目を落としたペールは突如自身の後方にいた1人の観客に向かって「試合後に何をするって?そんなことを言うなんて何様のつもりだ?」と怒りを表に出すと、ヤジを飛ばされた旨を伝えに主審の元へ駆けつける。

主審は「君の言うことはわかっているよ」と頷くも特に観客へ注意はせず、そのままプレー続行を宣告。結局このセットをあっさりと落としたペールは2セット目も反撃の糸口をつかめず、1-6、4-6のストレートで2回戦敗退を喫した。

スペインのテニスメディア『Punto de Break』によると、当該観客はテニス賭博のスペシャリストを名乗る男性で、すでに大会運営側は試合の進行を妨げたその男を会場から追放したという。
試合後の会見でペールは事件当時の状況を説明。続けて「今日負けたのはさっきの事件が原因ではない」としつつも、ソーシャルメディア内ではなくプレー中に賭博絡みの脅しの言葉を受けたことへの不満を口にした。

「その男は俺に『試合が終わるまで待っているぞ』と言った。それを伝えてくれた人がいたんだ。それで俺は彼が賭博に関わっているのだと気付いたが、そんなことを会場でやるべきではない。

面倒なことではあるが、俺たちプレーヤーは、人々が賭けをしていることも知っている。SNSで人々が(賭けに負けたからといって)俺たちを攻撃してきても、俺たちは極力それを無視しようとする。でも試合会場で誰かが選手を脅してくるというのはひどいことだと思う」

そもそも過酷なツアーで日々懸命に戦う選手を賭けの対象にすること自体が理解し難い話である。本当のファンであれば純粋に試合を楽しみながら、一人ひとりのプレーヤーにリスペクトの念を持って応援するはずだ。安易に選手を傷つける行為は断じて許されるものではない。

文●中村光佑

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