除雪不備での欠航ゼロ 「日本一」の除雪隊・ホワイトインパルス(青森空港)、命名10周年

重機の前に立つ福士隊長(中)と山﨑統括班長(左)、蝦名慎哉副隊長
隊列を組み滑走路の除雪を行うホワイトインパルス=1月10日午前7時5分ごろ、青森空港

 青森空港の冬の安全運航を支える除雪隊「ホワイトインパルス」。1981年の結成以来一度も除雪の不備による欠航がなく、その技術は「日本一」とも称される。隊列を組み除雪に当たる様子が航空自衛隊の「ブルーインパルス」を思わせることから、その名が付けられた。2013年度の命名から10周年を迎えた今季も、空の玄関を守り抜いている。

 1月上旬、薄暗さが残る早朝午前7時の青森空港滑走路にごう音が鳴り響く。地吹雪とともに姿を現したのは美しい隊列を組んだ除雪車両。降り積もった重い雪があっという間になくなった。

 隊員は午前5時ごろから始まる除雪作業に合わせて出勤。その後は同空港管理事務所からの要請を受け、1日60~70人、34台の除雪車両で出動。約55万平方メートルを約40分で除雪する。午後9時台の最終便到着まで待機し、多い日は6回ほど要請があるという。13~22年度の過去10年間で計2122回出動し、今季は1月25日現在で93回出動した。

 現場を指揮する統括班長の山﨑治さん(58)は今季で24年目のベテラン。除雪車両の後ろを車で追い、無線で隊員たちとコミュニケーションを取りながら指示を出す。「日によって気温や雪の量、質が違うが、航空機の発着に間に合わせるため短時間で作業を終えなければならない。分割して除雪するなど工夫している」

 作業は、除雪車両で雪を寄せ、滑走路に残った雪の塊を人力で寄せるなどの行程があり、最終チェックも目視だ。山﨑さんは「緊張感があり大変な仕事だが、上達すると達成感がある。できる限り続けて後輩に技術を継承したい」と語る。

 同隊は市内4社の共同企業体で構成。今季は20~60代の約120人が隊員として活動する。隊員は冬季は除雪隊、それ以外は農業や土木業などに従事しているが、冬季だけの仕事という特殊性から新人の加入が少ないのが課題となっている。一方で、県外からも加入を希望する問い合わせも数件あり、今後は受け入れ態勢の整備や、他業種と連携して人手不足を補いたい考えだ。

 1月2日には、羽田空港で日航機と海上保安庁の航空機が衝突し、海保機の男性乗員5人が死亡する事故が発生。5代目隊長の福士真人さん(44)は「航空機の安全運航を守らなければならないと改めて強く感じ、身の引き締まる思い。今季も無事故で業務に当たる」と誓った。

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