「障害」→「障がい」変わる表記 青森県内全40市町村を調査 6割超が使用

行政機関の部署名や、各種団体の広報資料など、さまざまな場面で「障害」「障がい」の表記が用いられている(写真はコラージュ)

 医療・福祉分野の用語「障害」の表記方法について、東奥日報が青森県内40市町村に取り扱いを尋ねた結果、少なくとも6割超が公文書や行政資料などで「障がい」表記を用いていることが分かった。「害」の字がマイナスの印象を与えることを考慮して「障害」から変更したとの理由が多くを占めた。表記の変更時期が不明な市町村もあるものの、2000年代に入ってから徐々に「障害」を「障がい」へと切り替える動きが出ている。

 県は24年度から、新たに作成する公文書での表記を原則「障がい」とする方向で検討を進めている。法令にある名称や固有名詞などは対象から除く。

 東奥日報は1月中旬、40市町村の障害福祉を担当する部署に、公文書での「障害」「障がい」表記の取り扱いを尋ねる質問票を送り、全市町村から回答を得た。

 公文書での表記を原則「障がい」に定めていると回答したのは青森市、弘前市など9市町村。原則「障害」はつがる市、大間町、佐井村の3市町村だった。このうち佐井村は、公文書での表記を原則「障害」としつつ、広報や住民への案内には「障がい」表記を用いているとした。

 ほかの28市町村は表記の取り扱いを「特に定めていない」、または「その他」と回答。このうち少なくとも15市町村が、市町村の福祉施策計画や公文書などで「障がい」表記を使っていた。詳細な回答が得られていないが、ほかにも「障がい」表記を用いている市町村はあるとみられる。

 法令・固有名詞を「障害」、それ以外は「障がい」と使い分ける事例が多い。「その都度検討しながら『障がい』へ表記を変更する」(平内町)、「職員の裁量で使い分けを行っている」(鶴田町)自治体や、「現行の法律、条例や要綱が『障害』となっている」(七戸町)などの理由で「障害」表記を基本としているとの回答もあった。

 「障がい」表記を導入している理由は、「害」の字から受けるイメージを挙げた回答が多かった。青森市は「漢字のイメージから受ける差別感や不快感を考慮し、障害者の人権をより尊重する観点から」と説明。八戸市は、漢字から受ける印象に加え「平仮名は子どもにも分かりやすく、やわらかいイメージとなる」とした。

 「障がい」表記の導入時期は、05年度に一部公文書で統一を始めた五戸町が、時期に関する回答を得た市町村の中では最も早かった。おいらせ町は「07年頃の計画書に『障がい』表記」があったと回答。10年代以降に使い分けを始めたという市町村が目立った。

 原則「障害」表記を用いている市町村は、「関係条例・例規全て障害で表記している」(つがる市)、「条例、規則制定の時から変更されていない」(大間町)と説明している。

 ▽東奥日報社は記事において、現時点で基本的に「障害」と表記していますが、団体名など固有名詞で「障がい」を使用している場合などは、それに合わせて平仮名書きにしています。

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