世界遺産30周年効果か 白神山地入山者、前年度比2.4倍に 2023年度

 環境省東北地方環境事務所は1日、2023年度(23年4~11月)の白神山地世界遺産地域と周辺地域の入山者数が前年度比2.4倍の3万9600人だったと発表した。世界自然遺産登録30周年の節目に加え、新型コロナウイルス対策の移動制限がなくなったことで大きく伸びたとみられる。アクセス道路の閉鎖により、計測機器を設置できたのは主要登山道13地点中7地点だったが、コロナ禍前の19年(3万8382人)も上回った。

 設置台数や計測箇所などが変動しているため単純比較はできないものの、過去10年で最も多い。22年度(1万6210人)は最少だった。入山者数調査を始めた04年度は8万1407人に上った。

 23年度は7地点の入山者が、いずれも前年度を上回った。中でも、県内外からの来訪者に人気の「ブナ林散策道」は2万6703人(前年度比1万5836人増)で16年の計測開始以来、最高となった。団体客の増加のほか、暗門の滝へ向かう歩道が川の増水で度々閉鎖されたため、代わりに同散策道に入る人が多かったことも影響したと考えられる。「暗門の滝」の入山者は6370人(同6065人増)だった。

 一方、核心地域への入山者数は微増にとどまったとの報告もある。同省西目屋自然保護官事務所の齋藤純一自然保護官は「核心地域へは白神ラインから入る人が多く、通行止めの状況では入りにくい。アクセス道が開通していれば全体でも、より多くの人が入山していただろう」と話した。

 調査は青森県と秋田県の主要登山道に設置した赤外線センサーによる自動計測で行われた。

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