「盆梅」の小さな変化を感じ取る「花咲おにいさん」 樹齢数百年の声なき古木に寄り添う

手塩にかけた会場の盆梅を眺めて「今年も無事に開花を迎えられた」と話す金子遼さん(長浜市港町・慶雲館)

 湖北の早春の風物詩として滋賀県長浜市港町の慶雲館で3月10日まで開かれている長浜盆梅展で長浜観光協会職員として梅の管理を担当する。暖かい室内では紅白の花がすでに見頃。花が散った鉢を入れ替えるなど作業に追われ「今年も無事に開花を迎えられた。年末年始に暖かかったせいか今年は入れ替えのペースが速い」と笑顔を見せる。

 大阪府吹田市出身の金子遼(かねこ・りょう)さん(32)。長浜バイオ大の学生時代に会場アルバイトを経験したのをきっかけに2013年、同協会に入った。樹齢数百年という古木はちょっとした異変が枯死につながりかねない。「梅は動物と違って表情や鳴き声で自分のことを表せない。細かい変化を感じ取る必要がある」と気を引き締める。

 長浜盆梅の中で最高の樹齢400年とされる八重咲き紅梅の「不老」もまもなく登場する。土日祝日の夜間ライトアップも始まった。

 「天井すれすれまであるような大きな古木はここ長浜でしか見られない。盆梅には人を楽しませる力がある。花だけでなく枝ぶりや室内に漂う香りも楽しんでもらいたい」

 この時期、気を使うのは積雪だ。普段、屋外で管理している梅の枝が折れる心配があり、雪が積もれば枝をひとつずつ手で払う。「休みでも出てくることもある。気が抜けない」

 名刺に「花咲(はなさか)おにいさん」と入れている。「差し出すと相手に話題にはしてもらえるんですが。定着はまだまだかな」と苦笑する。長浜市朝日町在住。

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