自民・安倍派キックバック…埼玉県連会長の柴山氏は不記載896万円「なぜ派閥が、収支を表に出したがらない議員に合わせたか」 中根氏1860万円「不正支出ない」 大塚氏528万円「一円も使っていない」 三ツ林氏「秘書が管理」

会見で政治資金収支報告書の修正について陳謝した柴山昌彦衆院議員=1日午前、県庁

 自民党安倍派(清和政策研究会)が議員ごとに設定したパーティー券販売ノルマの超過分をキックバック(還流)していた問題を巡り、埼玉県連会長の柴山昌彦衆院議員(埼玉8区)が1日、さいたま市内で会見し、不記載の還流分が計896万円に上ると明らかにした。訂正された2020~22年分は計556万円。柴山氏は「結果的に修正の運びとなり、誠に申し訳なく、心からおわび申し上げる」と陳謝した。

 柴山氏は、13年までそれぞれの政治資金収支報告書に記載していた還流について、14年ごろに清和研側から「今後は収支報告書に計上しないので、貴事務所でも受領について同様の対応を取ってほしい」と申し入れがあり、「非常に困惑した。本当に法的に大丈夫なのかという疑念が生じた」と、不記載の認識があったことを認めた。事実関係を示す資料は捜査当局に全て提出し、捜査にも全面的に協力してきたという。

 柴山事務所では秘書の判断で、還流された資金を、いずれ清和研に納付することを前提とした「預かり金」として事務所内で保管する対応を取っていたとし、弁護士でもある柴山氏は「コンプライアンス(法令順守)を一番のよりどころ、旗印として秘書にも徹底していた。(秘書は)理不尽な対応を迫られ、苦肉の対応だったと思う。そういった対応を強いてしまった(責任の)一端は私にある」と語った。

 「預かり金」はその他の活動資金と明確に区別され、これまで一円たりとも使用されることはなかったという。柴山氏は重ねて陳謝し、「なぜ派閥が(収支を)表に出したがらない議員に合わせていくのか、一構成員として、そこまで足を踏み入れることができなかった」と述べた。

 「身の処し方についてもけじめをつける必要がある」と話す柴山氏は県連会長の職について、「とどまるのはふさわしくないのでは」と小谷野五雄県連幹事長(県議)に電話で意向を伝え、「党の再生にふさわしい体制を整えなければいけない」と判断を県連に委ねているとした。

 中根一幸衆院議員(比例北関東)は18年からの5年間で不記載の還流が計1860万円だったことを文書で報告。「この資金は地元での政治活動の資金として支出された。私的な蓄財や流用、不正な支出はない旨、確認しております」などと陳謝した。

 大塚拓衆院議員(埼玉9区)は自身の公式ホームページで、「21、22年分の528万円が記載漏れの状態にあり、これらのお金は実際には一円も使われていないことから、経緯を踏まえて必要な対応を検討し、できるだけ速やかに対応する」などと報告した。

 三ツ林裕巳衆院議員(埼玉14区)は、還付金は秘書が管理し、同僚議員のパーティー会費などに充てたと文書で説明。「適正な形で活用した。不記載の事実自体は真摯(しんし)に反省し今後適切に訂正する。政治と金の問題で疑念を抱かれないよう襟を正したい」とした。

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