「家事・育児分担」の意識調査、共働きでも「女性7割、男性3割」が最多

エン・ジャパンはこのほど、総合求人サイト「エン転職」にてユーザーを対象に実施したアンケート調査「男女の家事・育児分担」の結果を発表した。同調査は、2023年11月28日~12月25日の期間に行われ、4828人から有効回答を得ている。

「エン転職」ユーザー4800名超が「男女の家事・育児分担」について回答

若い年代ほど男性の分担割合が高い

調査対象者に、ともに生活を営むパートナーがいるかを尋ねたところ、「いる」という回答は47%を占めた。

調査対象の5割近くが、ともに生活を営むパートナーが「いる」と回答

ともに生活を営むパートナーが「いる」と答えた人に、「家事・育児の分担割合」を尋ねた質問では、「女性7割、男性3割」(21%)がもっとも多く、以下「女性9割、男性1割」(19%)、「女性8割、男性2割」(18%)が続いている。

働き方別でみると、共働きでは「女性7割、男性3割」(22%)、片働きでは「女性9割、男性1割」(24%)が最多となった。一方で、「女性6割以上」の割合は共働きで78%、片働きで77%と、大きな差異はない。

共働きと片働きでは「家事・育児の分担割合」に差異が

パートナーとの「家事・育児の分担割合」を年代別でみると、「女性6割以上」の割合は年代が上がるほど高まり、20代では62%、30代では78%、40代以上では80%となっている。

年代が上がるほど女性が家事・育児の6割以上を担う割合は高まる

現状の課題は「勤務時間が長いため」

同じく、ともに生活を営むパートナーが「いる」と答えた人に、家事・育児の分担が現在の割合になっている理由を尋ねたところ(複数回答)、「配偶者または自身の勤務時間が長いため」(45%)がもっとも多かった。

家事・育児の分担が現在の割合になっている理由、「配偶者または自身の勤務時間が長いため」が最多に

家事・育児の分担が現在の割合になっている理由として、「勤務先に家事・育児と仕事の両立への理解がないため」と答えた人に、仕事と家庭の両立をする上で勤務先に求める条件や対応を尋ねた質問への意見は次の通り。

「有給休暇や女性の産休育休、男性育休への理解がまだまだ足りない。制度があるだけで全く稼働していない状況を改善してほしい」「テレワークの導入または会社PCの支給、オフィス外でも仕事ができる体制の強化」「育休復帰後は、残業や土日祝の出勤ができないという理由で、同じ仕事内容なのに必然的にパートになり、役職もなくなった。給与もキャリアもなくならないようにしてほしい」といった意見が寄せられた。

「現状に満足」は男性で63%、女性で47%

調査対象者のうち現在仕事をしている人に、現在の家事・育児分担と仕事の両立についての満足度を尋ねたところ、「とても満足」(22%)と「どちらかといえば満足」(33%)を合わせた割合は55%だった。男女別でみると、男性では63%、女性では47%となり、男女で16ポイントの開きがある。

現在の家事・育児分担と仕事の両立についての満足度、「満足」は全体で5割超も男女では16ポイントの開きが

現在の家事・育児分担と仕事の両立についての満足度を、それぞれの分担割合ごとでみると、「満足」は「女性7割、男性3割」(22%)、「不満」(「どちらかといえば不満」と「とても不満」の合計)は「女性9割、男性1割」(35%)が最多となった。

家事・育児分担と仕事の両立についての満足度、「満足」は「女性7割、男性3割」、「不満」は「女性9割、男性1割」が最多に

現在の家事・育児分担と仕事の両立について「不満」と答えた人に、その理由を尋ねた質問(複数回答)では、「パートナーだけが仕事に集中できているため」「パートナーに家事・育児スキルがないため」(どちらも42%)が上位となっている。

同じく、現在の家事・育児分担と仕事の両立について「不満」と答えた人に、不満を感じたエピソードを尋ねた回答は次の通り。

「パートナーが激務のため、家事をやることはない。私も正社員で働いていたが、家事を全て担わなければならず、退職して専業主婦にならざるを得なかった」「子どもが産まれても、ライフスタイルが変わるのはいつも女性ばかりだと感じる。仕事を変えたり、子どもの送迎、体調不良の時の対応など」「仕事の拘束時間上、妻に家事を任せることが多い。明らかに仕事より家事の方がきついし、評価もされない。自分の方が楽をしているというジレンマがある」といった回答が寄せられた。

「男女格差はなくすべき」が52%

日本の「家事・育児分担」における男女格差について、どう思うかを尋ねた質問では、「男女格差はなくすべき」が52%、「ある程度の男女格差は仕方がない」が37%となっている。

「家事・育児分担」の男女格差、「男女格差はなくすべき」が半数超も、「ある程度の男女格差は仕方がない」も4割近くに

日本の「家事・育児分担」における男女格差についての自身の考えの背景としては、「男女格差はなくすべき」と答えた人からは「昔と比べると徐々によくなっているとは思う。育児をしている女性の負担はまだまだ減らせてないと思うが、急に変わるものではないので継続して改善していくべき」「出産できるのが女性だけなので、仕方ないのかもしれないが、やはり家事育児がもう少し自分ごととして考えてほしい。親世代が母親が家事育児全般やりすぎてしまっている影響を強く感じるし、ドラマでも母親像が強すぎる」といった意見が寄せられた。

一方、「ある程度の男女格差は仕方がない」と答えた人からは、「家計を担うのか家庭を担うのか役割分担としてしっかり相互理解されているならば、どちらかが家事・育児ばかり、仕事ばかりというのは仕方ない。ただ、勤務先などの外側から『女は家庭を、男は仕事を』と決めつけて仕事したい女性や育児をしたい男性の機会を奪うのは性差別であり、なくすべき格差だと思う」「そもそも性別が違うので、育児においての立ち位置や役割など、すべての格差をなくすというのは難しいと思う。しかし、どちらでも対応できる家事などは分担して負担の格差をなくす働きかけはする必要があると思う」といった意見が寄せられている。

そのほか「男女格差があるのは当然だ」と答えた人からは、「なくすべきだとは全力で思うが、古い考え方の人が日本の大半を占めているとなんとなく感じる。そもそもそういった考え方の世代、かつ男性ばかりで政治をしているため、国が変わらないのも当然な気がする。30年後には変わってくれると信じたい」「家事・育児を『手伝っている』という考えであれば、いつまでも格差があるままだと思う」といった意見が寄せられた。

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