知床観光船賠償訴訟 日本小型船舶検査機構側が請求棄却求める

知床半島沖での観光船沈没事故を巡り遺族がJCI=日本小型船舶検査機構に損害賠償を求めている訴訟で、JCI側が請求棄却を求めていることが分かりました。

訴訟は、知床半島沖でおととし4月、小型観光船「カズワン」が沈没した事故について、事故原因は船舶検査の不備にあるとして、死亡した甲板員の両親がJCIに損害賠償を求めているものです。訴訟記録によると、JCI側は先月行われた非公開の手続きで、請求棄却を求める意向を示しました。事故の法的責任を巡り、JCI側の認識が示されたのは初めてです。

国の運輸安全委員会の報告書などによると、事故の直接的な原因は、固定が不十分だった甲板上のハッチのふたが船の揺れで開き、そこから浸水したと推定されています。国の船舶検査を代行するJCIは事故3日前にカズワンを検査した際、ハッチの開閉試験を省略していました。検査を巡っては両親は国も提訴しています。

国側は「仮に検査に過失があってもその主体はJCIで、国は責任を負わない」と主張しています。

東京地裁は先月二つの訴訟を併合していて、今後は同じ手続きの中で、賠償責任の有無などが審理されます。

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