発生源の特定・除去には「かなり時間がかかる」 発がん性の疑いなどが指摘される“PFAS”問題 岐阜・各務原市 

岐阜県各務原市で、水道水の水源から発がん性の疑いなどが指摘される高濃度の有機フッ素化合物「PFAS」が検出された問題。調査が区切りを迎えたことを受け31日、県と市は専門家を交えての会議を開きました。

(小川麻実さん)
「こちらが浄水器です。去年の夏に報道があって近くのホームセンターで購入しました。(Q.PFASの問題が発覚してから購入?)そうです」

岐阜県各務原市に住む小川麻実さん。水道には浄水器。そして、キッチン横にはウォーターサーバーが設置されています。

(小川麻実さん)
「お米を洗ったり、お味噌汁を作ったりする時は浄水器を使って、朝コーヒーを飲む時やスポーツクラブに水を持って行く時はウォーターサーバーを使います」

ことの発端は、去年7月。

「ご報告が遅くなりましたことを、この場をお借りしておわび申し上げます。誠に申し訳ございませんでした」

衝撃の会見。各務原市民の半数にあたる約7万2000人に水道水を供給する三井水源地で、発がん性の疑いなどが指摘される高濃度の有機フッ素化合物「PFAS」が国の目標値を上回る濃度で検出されたというものでした。

しかも、市は約3年間、この事実を公表していませんでした。

市は、その後水源地にPFASを取り除くための活性炭を設置する工事を行い、去年10月にはその工事も終え、供給される水はすべて活性炭を通したものになっています。水質検査ではPFASの数値は、暫定目標値を大きく下回りました。

100人中73人 発がん性などのリスクがあるとする血中濃度を超える

しかし去年10月、岐阜県民医連と京都大学が三井水源地が水道水を供給している地域の住民100人から採血した結果、アメリカの学術機関が発がん性など健康リスクがあるとするPFASの血中濃度を超えていたのは、73人でした。

(京都大学医学研究科・原田浩二准教授)
「(PFAS濃度の)暫定目標値を変えていくことが次のステップ。発がん性があると認定されたことをしっかり受け止めた評価を行う必要がある」

(小川麻実さん)
「これは去年10月に血液検査を受けた時の結果です」

血液1ミリリットルあたり2ナノグラム未満なら、健康に影響はないとされている「PFOS」と「PFOA」の合計値が43.7ナノグラムでした。

(小川麻実さん)
「びっくりした。ここまで高い値だと思っていなかったので」

WHOの専門機関は、PFASの一種PFOAを「発がん性がある」、PFOSを「発がんの可能性がある」と認定していて、各務原市は1月9日、全市民対象の電話相談窓口を設置しました。

また、各務原市はPFASの広がりを調べるため、岐阜県と合同で去年8月から地下水の調査をしてきましたが、1月中に調査が一区切りしたことで31日、専門家をまじえての会議がひらかれました。今後は発生源の特定などを進めなければならないということですが…

(各務原市・森田起宇 市民生活部長)
「発生源を特定して元から絶ち、すべての物質を除去することが理想。現状の除去技術やさまざまな科学的知見などを踏まえると、今後の技術開発も含めてかなり長い時間がかかるのではないか。市としての知見が非常に少ないので、専門家の意見、県や国の知見などを踏まえて、頑張ってやっていきたい」

命にかかわる飲み水の問題。何より地域住民の不安をどう解消していくのか。国を挙げて真剣に向き合っていくべき課題です。

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