「もう滅茶苦茶」岸田首相、マイナカードの取得義務化「現段階では難しい」発言で強まる「マイナ保険証」への疑問

2月1日、岸田文雄首相は、マイナンバーカードの取得義務化について、「現段階では難しい」と答弁した。

衆院本会議での日本維新の会の馬場伸幸代表の質問への答弁。馬場代表はこう質問していた。

「成長の原動力として、イノベーションとデジタル社会への変革は不可分の関係にある。しかし政府がデジタル社会のパスポートと呼ぶマイナンバーカードの普及・活用さえ足踏みが続き、今年(2024年)12月からのマイナ保険証への完全移行は『笛吹けども踊らず』の様相だ。昨年(2023年)4月に、6.3%だったマイナ保険証の利用率も下がり続け、(同年)12月には、4.3%まで落ち込んだ。使い勝手の悪さが改善されず、広く国民の要求に応えるものにはなっていない。今後、マイナ保険証への切り替えと利用促進をどう拡大していく考えか。

マイナカード活用による国民の利便性向上はまさに公共の福祉であり、私的事情で取得していない人達の権利より優先されてしかるべきではないか。マイナカードの取得義務化への見解と合わせ、答えてほしい」

この質問に対し、岸田首相はこう答弁した。

「マイナ保険証の利用促進とマイナンバーカードの義務化についてお尋ねがあった。マイナ保険証は我が国が医療DXを進めるための基盤となるものであり、本年度(2023年度)の補正予算でもうけた医療機関への支援金による支援や、そのメリットの周知広報を通じて、医療機関や保険者等の関係者と連携し、積極的な利用促進をはかっていく。

マイナンバーカード取得の義務化については、最高位の身分証として、厳格な本人確認のもとで交付する必要があり、カードに顔写真を表示するとともに対面での厳格な本人確認をするため、本人の申請によることとしていることから現段階では難しいと考えている」

維新はマイナンバーの推進派。2022年参院選の公約「維新八策2022」ではマイナンバーの「フル活用」を明記している。維新八策にはこうある。

《マイナンバー法を改正して使途を拡大し、マイナンバーの「フル活用」を推進します。マイナンバーとすべての銀行口座の紐づけを義務化すること等を通じて収入と資産を捕捉するとともに、戸籍から不動産登記、外国人在留管理までを紐付けし、ワンストップサービスの拡張、有事の際の給付金の速やかな支給など、透明で公平公正、迅速な行政施策の実施を実現します。》

《マイナンバー制度の活用や銀行口座との紐付け により、個人・法人の資産と収入を正確に把握し、効率的かつ公平で抜け漏れのない徴税を行います。》

《迅速な医療情報の共有化により医療の質の向上や重複する処置の削減等を進めるため、電子カルテの標準化を促進し、普及率 100% を目指します。また、マイナ保険証の利用を促進することで、全国どこの医療機関でもこれまでの通院歴や処置記録が見られる環境を整備し、医療の継続性を担保します。》

その維新から「マイナカードの取得義務化への見解」を問われ、岸田首相は「現段階では難しい」と答えたわけだ。

だが、SNSでは岸田首相がこう答弁したことに疑問の声が多く上がっている。

岸田首相は2023年12月12日、「マイナンバー情報総点検本部」で「総点検の完了のメドが立った」として、現行の健康保険証を2024年秋に予定通り廃止すると表明した。

さらに同年12月22日、政府は、現行の健康保険証を2024年12月2日に廃止し、「マイナ保険証」に一本化することを閣議決定した。

紙の保険証は、廃止後も猶予期間として1年間は利用でき、マイナ保険証を持っていない人には代わりになる「資格確認書」を発行するものの、マイナ保険証は事実上、「義務化」されることとなる。

SNSでは、岸田首相が、マイナカードの取得義務化は「現段階では難しい」と答える一方、マイナ保険証の事実上の義務化を進めることを疑問視する声が多く上がった。

《「マイナンバーカード の取得完全義務化は現段階では難しい」といいながら、マイナ保険証は積極的に進めていく方針の岸田総理。資格確認証制作のシステムを作るにも費用がかかるし、自治体職員の手間も増えると思うんですけどね》

《マイナカードの義務化が難しいのなら、マイナ保険証なんて実現不可能でしょ? 紙の保険証を残しなさいよ。もう滅茶苦茶》

《そもそも『任意』のはずなのに、紙の保険証を廃止してマイナ保険証に切り替えるなど、やってることは実質『強制』になってて、もはや詐欺です》

マイナカードの取得義務化を否定しながら、現行の健康保険証を廃止することで事実上義務化することに無理があるのではないか。

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