香妻陣一朗は緊急ミーティングでマイアミに飛んだ LIV団体戦を解剖

香妻陣一朗(右)はケビン・ナと仲良くグータッチ(撮影/服部謙二郎)

◇LIVゴルフリーグ◇マヤコバ 事前(1日)◇エル・カマレオンGC(メキシコ)◇7116yd(パー71)

LIVゴルフのフォーマットの魅力の一つに団体戦がある。各チームは4人1組、計13チームが、個人戦と並行してスコアを競う。初日と2日目は各組上位3人、最終日は3人全員のスコアが加算対象になる。2日目まで成績が悪くチームに貢献できなかったとしても、最終日は気が抜けない。

個人戦は全選手に賞金が出るが、団体戦は3位まで。年間ポイントレースでは各大会の上位8チームにポイントが付与される(個人戦は上位24位まで)。つまり全13チームのうち5チームはポイントを獲得できない。

自分のチームの看板の前で撮影(撮影/服部謙二郎)

今季LIVに加入した香妻陣一朗のチームは、ケビン・ナが率いる「アイアンヘッズGC」に決まった。どのような背景があったのだろうか。「いや、分からないんですよね。指名があったのかどうか。LIVの事務局の思惑とかいろいろあるんじゃないですか」。チーム編成はリーグ側の狙いも込められていそうだ。

「アイアンヘッズGC」は、香妻の言葉を借りれば「なんとなくアジアにゆかりのある人たち(笑)」によるチーム。韓国系アメリカ人ナ、韓国系ニュージーランド人のダニー・リー。スコット・ビンセント(ジンバブエ)は日本ツアーで3勝を挙げている。

実際に各チームとも、何となくではあるが、ルーツなどが同じような系統(?)の選手たちが集まっている。セルヒオ・ガルシア(スペイン)率いる「ファイアーボールズGC」は、アブラム・アンセル(メキシコ)、ダビド・プイグ(スペイン)といったラテン系のノリが魅力。キャメロン・スミスの「リッパーGC」は、マーク・レイシュマン、ルーカス・ハーバートはオーストラリアチームだ。

ダスティン・ジョンソンがキャプテンの「4エースGC」は、パトリック・リード、パット・ペレス、ハロルド・バーナーIII。全員が米国人というだけにとどまらず、何といえばいいか、どこかちょっと“悪いやつら”(失礼!)が集まっているヒールなチームかもしれない。

ミケルソンらのハイフライヤーズは一緒に練習ラウンド(撮影/服部謙二郎)

香妻が「アイアンヘッズGC」に決まったのは、開幕3週前だった。「いろいろ契約の話とかも大変だったり、けっこうLIV側もバタバタしていたみたいで」。チームの緊急ミーティングはフロリダ州のマイアミで行われた。香妻は家族旅行先だったハワイから単身で当地に向かい、3日間の滞在を経て家族のもとにとんぼ返り。直後にグアムで結婚式を行い、すぐさま開幕のメキシコにやってくるという弾丸ツアーを経験してきた。

チームキャプテンのナと面識はなかったが、「うちのチームで一緒に頑張ろう」と激励を受け、チームでの話し合い、プロモーション用の写真撮影を行った。「チームでは食事には行けなかったんですが、ケビンがみんなにピザをふるまってくれました」。それからは韓国で人気のメッセージアプリ「カカオトーク」で仲間と頻繁にやり取りしているという。

自転車に乗ってホテルへ帰るニーマン(撮影/服部謙二郎)

試合前の準備はチームによって様々。時間を決めて一緒に練習をするところもあれば、個々で好き勝手にラウンドをするチームもある。フィル・ミケルソンの「ハイフライヤーズGC」などは、実に規律正しく、キャプテンに率いられて「練習→練習ラウンド」をこなしていた。開幕前日の夕方にはミーティングを行うなど、まさに“チーム感”が強い。

一方で香妻のチームはというと「ラウンドはたまに一緒にするらしいですけど、基本は『自由でいいよ』というスタンスでした」。関係性はこれから構築していく方針のようだ。

香妻はチーム戦の実感がまだわかないと前置きしつつも、「たぶん、上位にみんなが絡んできたら最終日に向けて盛り上がってくると思うんですよね。自分のチームの選手が優勝争いなどしていたら試合終わってから会いに行くと思いますし、そういうのは普段ないから、やっぱり楽しいっすよね」と今からワクワク。「もし誰かが勝ったら、みんなで飯食ったりとかするんだろうな」。楽しみは広がるばかりだ。

ことしは年間のポイントレースで13試合目までに12位以内に入ったチームが最終戦「チームチャンピオンシップ」出場できる(13位のチームも参加する)。香妻は初日、12番ホールからケーレブ・サーラット(リージョン13)、リチャード・ブランド(クリークスGC/イングランド)と同組でプレーする。(キンタナロー州プラヤデルカルメン/服部謙二郎)

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