京都の「西陣織」洋服市場に進出へ 高級アパレルブランド向け目指す

洋服やバッグ向けの西陣織生地を開発し、欧州の展示会に出展する各企業の担当者(京都市上京区・西陣織会館)

 西陣織工業組合(京都市上京区)と加盟各社が、洋服向けテキスタイル市場への進出に本腰を入れる。高級アパレルブランドをターゲットにした西陣織の生地を新たに開発し、1月下旬に欧州で開かれた世界最大規模のテキスタイル見本市に出展した。和装需要が落ち込む中、世界最高峰とも言われる繊細な織りの技術で新たな需要を開拓する。

 組合が昨年、新市場開拓委員会を新設し、京都を拠点に国内外で活躍するファッションデザイナー菅井英子さんの監修を受けながら織元5社が企画開発に取り組んできた。洋服に適した質感やデザイン、色合いなどを各社が見直し、和と洋の魅力を融合させた生地を新たに制作した。花や惑星、引き箔(はく)などをモチーフにした計約200種類の生地と洋服の見本を、イタリア・ミラノのテキスタイル見本市で披露し、欧米ブランドなどとの契約を目指す。

 各社が既存製品を海外で展示することはあったが、組合を挙げて開発から出展まで取り組むのは初めての試みという。洋服や小物、インテリア向けなどの生地の受注につなげる。

 菅井さんによると、洋服向けのテキスタイルは1年以上も先のトレンドを予測して企画製作する必要があるほか、広幅の生地が求められる。今回は広幅の織機を導入している企業などが参加し、最大150センチ幅の生地も作った。糸の本数が多く精緻な柄を表現できる西陣織の技術は、世界的に見ても高度といい、菅井さんは「伝統を踏まえつつ、革新させた新しい西陣織を見てほしい」と力を込めた。組合では展示会の反響を踏まえ、洋服向けの市場開拓を続ける。

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