【東京新聞杯/追い切り診断】マスクトディーヴァを上回る「S」の最高評価 「初戦から文句なしの仕上げ」

■ウンブライル

【中間調整】2歳秋のオープン・もみじSを3馬身差で快勝。3番人気に支持された阪神JFは15着、3歳初戦のクイーンCが0秒3差とはいえ1番人気6着とメンタル面の脆さが災いしたようで、人気に応えられない走りが続いたが、馬具を工夫したことでニュージーランドT2着、NHKマイルC2着と牡馬相手の重賞で能力を発揮した。その後の活躍にも期待されたが、骨軟骨腫の手術のため長期休養を余儀なくされる。

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昨年12月半ばの段階で復帰のメドが立ち、2024年上半期の最大目標をヴィクトリアマイルに据え、復帰戦を東京新聞杯に設定。暮れに美浦へ戻り、調整が進められている。大晦日12月31日に坂路14-14で初時計、1月3日にウッド14-14と慎重に立ち上げ、10日にウッド3頭併せと丹念に攻め強化。1週前はウッドでオープン馬ダーリントンホールを長めから追走する意欲的な内容をこなし、最後の仕掛けには力強い反応を示して併入フィニッシュとした。

【最終追い切り】レース当週は木村厩舎流の左右から挟むウッド3頭併せで総仕上げ。タイトに挟まれても自分のリズムを見失わず、抜群の手応えを保って加速していく。そのまま余力十分に左右2頭と併入。気持ちの乗りは長期休養明けをまったく感じさせなかった。

【見解】5月に行った手術後の経過は良好だったようで、放牧先である程度調整が進められていたようだ。帰厩後はレース感覚や闘争心など、“ソフト面”の底上げに軸足を置いた調整が順調そのもの。最終追いでは挟まれても力をしっかり温存できており、ラストの滑らかな加速は目を引いた。復帰初戦から文句なしの仕上がりと言える。

総合評価「S」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)●フリーライター
競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。現在、UMAJIN.net「競馬サロン」においては毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。

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