金沢市民の台所・近江町市場の人出は前年比2、3割 金沢駅構内の土産処は回復傾向 石川県出身記者が生取材

1月1日に発生した最大震度7の能登半島地震から1カ月が過ぎた。現在、大阪在住で石川県出身の記者にとって、能登は子供の頃に足を運んだ場所も多い。実家のある金沢市も震源地から離れていたとはいえ震度5強。地震発生直後に父と二人暮らしの母に電話をかけると、大きく揺れたが「大丈夫」との返事。心配をかけまいと明るく振る舞っているのかも…。自分の目で確かめたく、1月末に帰省した。

大阪からサンダーバードに乗り込み、金沢駅に到着。ホームには七尾駅まで復旧したJR七尾線の電車が出発を待っていた。1、2月は観光シーズンの閑散期。それでも駅ではキャリーバッグを引く日本人、外国人の観光客をちらほら見かけた。さっそく駅からバスに乗って実家方面へ。車窓から見える市街地の風景は普段とは変わらず、実家の無事も確認できた。

運転再開を知らせる貼り紙

大阪へ戻る日、観光客にも人気の高い、金沢市民の台所・近江町市場に寄った。平日の昼過ぎだからか人出は多くなかったが、外国人観光客の姿はそれなりにあった。近江町市場商店街振興組合によると、例年と同じく1日から4日までは正月休みでほとんどの店が休業。地震の被害は少なく、5日に通常通りに営業を始めた。「当初は(人出が)ほとんどなく、現在もそんなに多くはないですね。肌感覚で前年比2、3割くらいですかね。海外の観光客の方はポツポツといらっしゃいます」と担当者。以前のにぎわいに戻るのは、まだまだ時間がかかりそうだ。

能登の漁港は多くが大打撃を受けたため、市場には能登からの海産物は若干しか入荷できていない状態だという。例年、2月3日には無料で鍋を振る舞うイベントが行われるが、今年は能登半島地震支援として、1杯につき100円以上のチャリティー販売として開催。売上金の全額を「日本赤十字社石川県支部」に寄付する。

土産処や飲食店が立ち並ぶ「金沢百番街」

お土産を購入するため、金沢駅構内にある土産処や飲食店が立ち並ぶ「金沢百番街」にも立ち寄った。1月1日は所定の休館日で、2日は地震による設備点検のため臨時休館。地震の揺れによる商品落下や、天井裏の設備破損による水漏れがあった程度で、翌3日から営業を再開していた。和菓子を販売する女性店員は「お客さんは7割ぐらいですかね。でも、能登の状況に比べると…」と被災地を思いやった。他店の女性店員も「最初は(人出が少なく)いつまで続くのかと思いましたけど、この土日(1月27日、28日)くらいから戻りましたかね」と語った。

同施設を運営する金沢ターミナル開発株式会社の担当者は「元々年明けは閑散期であり、地震による大きな影響とは言えません。現在では、地元のお客様や支援に来られた方等にご利用いただき、人出・売り上げは回復傾向です」と説明。被災地の復興支援に関しても「自治体やテナントの皆様と協力し、一緒に能登を盛り上げていきたいと考えております」とバックアップをしていく。

金沢駅前の鼓門

被災地の復旧復興への道のりはまだまだ遠い。普段と変わらない様子の金沢も地震の影響を受けている。「手助けとして自分は何ができるのだろうか」。もどかしい思いを抱えながら、駅に設置された募金箱に募金をして、金沢を後にした。

(よろず~ニュース・中江 寿)

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