今田美桜は“ドキンちゃん”にそっくり? 朝ドラヒロインは「明るく元気に乗り越えたい」

2025年度前期連続テレビ小説『あんぱん』ヒロイン発表会見が2月2日にNHK放送センターで開かれ、ヒロインの今田美桜、脚本の中園ミホ、制作統括の倉崎憲が登壇した。

朝ドラ第112作目となる本作は、『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと小松暢の夫婦をモデルとした勇気の物語。気が弱くて自信のない柳井嵩(やないたかし)と出会い、激動の時代を共に生き、どんな時も励まし、牽引し続けたヒロイン・朝田のぶを今田が演じる。

今田はようやくヒロイン役を発表できることに安堵の表情を見せつつ、「撮影はまだまだ少し先ではありますが、のぶさんの思いを描きながら日本の朝を元気にできるよう、精一杯務めたいと思います」と挨拶をする。

今田本人には、最終オーディションの1週間後、12月中旬頃にヒロイン役が伝えられた。今田は“最終面談”として朝の8時にNHKに呼ばれ、現在放送中の朝ドラ『ブギウギ』が流れる中でのサプライズ発表だったという。

オーディションの応募総数は、3365人。途中のビデオ審査には「アンパンマンのマーチ」の歌詞をさまざまな感情で伝えるという、変わった試みもありながら、最終オーディションには実力もあり、すでに人気のある女優など、錚々たる面々が集まった。中園は選考が大変だったと振り返りつつ、最終オーディション時に今田の演技でスタッフの何人かが泣いているのを目の当たりにした。「その時に、のぶさんってきっとこういう人だったんじゃないかなって思えたんです。私もまだ今いろいろ取材をしたりして、のぶさんを探している最中だったから。温かくて、力強くて、みずみずしくて。 私は実はその瞬間に決めていました」と明かすと、今田は「嬉しすぎますね」と満面の笑みを浮かべる。

倉崎もその泣いていた一人だ。「台本でのセリフ一つひとつ、ト書き一つひとつへの、理解力と言いますか、ご自身の中で分かっていらっしゃって、それを芝居に出しているのが、自然と我々の心を動かしましたし、彼女の芝居を見た時にのぶさんに見えたというか。 このヒロインであれば、我々も一緒に、1年間走り続けたいなという、思いにさせられた」とヒロイン抜擢の理由を述べる。

朝ドラへの出演は、清原果耶がヒロインを務めた2021年度前期放送の『おかえりモネ』以来となる今田。清原を隣で見ていたからこその不安を吐露しつつも、「甘えながら、頼りながら、 助けていただきながら、明るく元気に乗り越えたいなと思っています」と意欲を見せた。

のぶは、人生の荒波をパワフルに乗り越えていくヒロインで、持ち前の男勝りで勝ち気な性格から「ハチキンおのぶ」「韋駄天おのぶ」とも呼ばれている。そのことについて今田は、「ハツラツとしていて、柳井さんを引っ張っていくような、存在でもあると思います。だけど、引っ張ろうと思って引っ張っているというよりかは、のぶさんの明るくて天真爛漫で人生を楽しんでいるところが、自然と引っ張っていってるようなことにもなるのかなと思いますので、私も同じように楽しく撮影できたらなと思っています」と答えた。

舞台となるのは高知県。2年前の夏に初めて高知を訪れたという今田は、川に入ったり、鰹を食したりしたことを懐古しながらも、ご飯を食べた後に大の字でコケてしまったことを明かす。その店主に手当てをしてもらったという話から、「優しくて温かい方ばかりで、もう一度行きたいと思っていた高知県が舞台となる物語に出させていただけるのはご縁だなと感じています」と胸を高鳴らせていた。なお、倉崎は「『らんまん』以上に高知で撮影をしたいと思っていますし、物語の中でも『らんまん』よりも高知パートが長いと今は想定をしております。高知の美しい風景だったり、あるいはカルチャー、方言も含めて、高知の魅力を存分に伝えていけたら」と高知でのロケを強くアピールしていた。

今田が『アンパンマン』の中で好きなキャラクターは、ドキンちゃん。小松暢がドキンちゃんのモデルだとも言われている。「天真爛漫なのが大好きで、高校生の時にドキンちゃんのキーホルダーを身につけていた記憶があります」と懐かしむ今田。中園もドキンちゃんが好きだと話した上で、「こんなにドキンちゃんに似てる女優さんはいないなと思って。それは選考が終わってから、みんなで改めてドキンちゃんと美桜さんの顔を見比べていたんですけど」と明かし、今田は「嬉しいです」とはにかむ。さらに中園からは「本当に楽しみです。早く『お腹空いた』って言ってほしい」と脚本のヒントとも言える発言も飛び出していた。なお、フォトセッションではドキンちゃんをイメージしたハートポーズが求められる一幕もあった。

クランクインは、2024年9月頃を予定。物語はヒロインの幼少期から始まり、子役を経て今田にバトンタッチ。全ての経験を経て『アンパンマン』が生まれるまでの過程を、きちんとしたディテールで丁寧に積み重ねていく。今後は、やなせたかしをモデルとした柳井嵩役の俳優もいずれ発表となる。

(文=渡辺彰浩)

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