揺らぐ“王国”の地位…「外に向かなきゃいけないなと」有機栽培で静岡のお茶を海外に 

有機栽培で育てた静岡茶を世界の消費者へ。お茶の国内需要が先細る中、海外に販路を見出す動きが活発になっています。静岡茶ブランドを盛り上げようと意気込む茶業関係者の挑戦の最前線です。

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静岡市などの26店舗で展開しているキャンペーン「するがヌーン茶(ティー)」。2種類以上のお茶とスイーツの組み合わせを楽しむコンセプトで、静岡市葵区鷹匠のカフェ「CHA10」では、川根産の抹茶と牧之原産のウーロン茶が用意されています。若者にも、静岡に足を運んでもらえるよう新しいお茶の楽しみ方を提案します。

<CHA10 中野目則子さん>
「お茶を使ったスイーツとお茶をいろいろ一つのお店で楽しめるのが魅力ですけど、まるごと食べれるのは魅力的」

静岡県が全国に誇るお茶。ただ、1世帯あたりの購入量は年々減る一方、“お茶王国”の地位は揺らぎつつあります。そんな中、新たな手を打とうという動きがあります。

<河田太一平記者>
「低迷する茶業界で窮地に立たされた茶農家ですが、いま、起死回生の一手を打とうと準備を始めています」

農家や茶商など、約50人が視察したのは農薬などを使わないお茶の有機栽培に先駆的に取り組んでいる茶畑です。

<参加した茶業関係者>
「土は柔らかい」
「柔らかいですね」
「すごいな」
「土質なんでしょうね」

害虫を防ぐために通常よりも広い間隔でお茶を植えるなど、栽培方法は従来と異なります。

<静岡県茶商工業協同組合 長瀬隆理事長>
「日本食のブームとともに、健康志向イコール日本茶の需要も増えてきている。国内の人口が年々減ってくるもんですから、われわれ茶商としては、外に向かなきゃいけないなと」

すでに海外に販路を切り開いた茶商もいます。

「こんにちは!『TEA SEVEN』(ティーセブン)です」

茶娘の衣装でお茶のPRをするのは藤枝市内の若手茶商など7社で作るグループ「TEA SEVEN」。5年前、海外での販売を目指して結成しました。

<TEA SEVEN 小野慎太郎さん>
「できれば、高値で農家さんから茶葉を買い、海外に向けてブランドのある茶葉を売っていこうと注力しています」

台湾に積極的に訪問し、消費者に好まれる味わいを研究。特に好評だったのが、有機栽培の「藤枝かおり」です。

<伊豆田有希記者>
「味も深いですが、香りもすごくいいですね」

海外での売り上げは右肩上がり。取引先が藤枝を訪れるなど交流も広がっています。

<TEA SEVEN 小野慎太郎さん>
「もっと藤枝にお越しいただくことで、藤枝の茶業も盛り上がりますし、それ以外の藤枝の産業も活性化するんじゃないかと」

有機栽培を新たな付加価値として海外に目を向け始めた茶業界。静岡ブランド復活ののろしとなるか注目されます。

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