「常温」で保管可能、「お湯」必要ナシ…“災害時”のために備えたい「乳児用液体ミルク」とは?

手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災 FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。今回の放送では、常温で保管ができ、お湯で溶かす必要もない「乳児用液体ミルク」について取り上げました。

※写真はイメージです

1月1日(月・祝)に起きた令和6年能登半島地震。現在、被災地の避難所には、約9,000人が避難していると言われています(※番組放送時)。避難者のなかには乳幼児もおり、現在、乳幼児がいる家族が離乳食などの食事を十分に確保できていなかったり、断水やお湯が沸かせないことで粉ミルクが溶かせないといった状況が続いています。

そこで今回は、災害時に断水や停電していてもそのまま飲める「乳児用液体ミルク」を紹介します。2016年に発生した熊本地震の際にフィンランドから緊急輸入され、その後、国内での製造・販売がおこなわれるようになりました。

液体ミルクは、お湯の調乳が不要なことや常温で保管可能といったメリットがある一方で、価格が高く、消費期限が短い商品が多いことがデメリットとして挙げられています。しかし、能登半島地震のように停電や断水が長期化した場合、赤ちゃんにとって液体ミルクがあるかないかは重要です。

国際災害レスキューナースの辻直美(つじ・なおみ)さんは、「メーカーそれぞれが企業努力をされているので、味や色も母乳と近いものになっていますが“使ったことがない”という方がほとんどではないかと思います。特に、完全母乳で育てられている方にとっては遠い存在かもしれませんが、例えば、お風呂あがりなど喉が渇いたときの水分補給に(液体ミルクを)飲んでみたり、日常生活のなかにどんどん入れてみてほしいです。そして、いざというときにはお湯を沸かさなくてもいいですし、そのまま常温で飲めるのが液体ミルクの良さです。(非常時に)命を救う飲みものとしても有効ですので、日常からぜひ使ってみてほしいです」と声を大にします。

“完全母乳で育てたい”など、家庭によって方針はいろいろあるかと思いますが、ミルクの味を赤ちゃんに知ってもらうことは、災害時に備えるためにも大切なことかもしれません。

都内の自治体で乳児用液体ミルクを備蓄しているのは、新宿区、文京区など18区。一方、備蓄していないのは、世田谷区や足立区など5区です。また、台東区のように備蓄はしていないけれど、災害が起きたときにドラッグストアから調達できる協定を結んでいる区もあります。

続けて、辻さんは「ママ・パパって、日頃から防災しているんですよ。例えば、おでかけをする際のママバッグなども、すべて(非常時のために)先を見越して備えたものですよね。今、自分の持ったママバッグをベースに、今後はおうちのなかで“これがあると助かる”というものや、普段から使っているものを多めに買っておこう、という『フェーズフリー』という考え方がありますので、ぜひ防災をやってみてください」と話します。

辻さんの著書「地震・台風時に動けるガイド 大事な人を護る災害対策」(学研プラス)では、家族を護る自宅の防災について紹介されています。今こそ、自宅の備蓄の確認をしておきましょう。

<番組概要>
番組名:防災 FRONT LINE
放送日時:毎週土曜 8:25~8:30
パーソナリティ:手島千尋
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/bousai/

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