奥能登の消防、富山が支える 3日から3隊常時派遣

派遣車両の救急車に資機材を積み込む職員=富山市消防局

 富山県内の全7消防局・消防本部が、能登半島地震で甚大な被害を受けた奥能登2市2町の消防、救急業務を全面支援する。地元消防が安否不明者の捜索などに追われて深刻な人手不足となっている中、3日から消防2隊と救急1隊を常時派遣し、消火活動や傷病者の救急搬送などを代行する。避難生活による住民の体調悪化も懸念されており、災害関連死を防ぐためにも支援を続ける。

 第1陣として、富山市消防局と高岡市消防本部の計11人が3日、消防車2台と救急車1台で現地入りし、輪島消防署を拠点に6日まで活動する。

 富山市消防局は消防と救急の各1隊を常時派遣し、他の6消防本部は消防1隊を高岡市、射水市、砺波地域、県東部、新川地域、立山町の順で持ち回りで出動させる。3隊は3泊4日の任務で次の隊に交代する。派遣期限は決まっておらず、当面は輪島消防署が拠点になる。

 富山県によると、消防庁から1月下旬ごろ、県と富山市消防局に対し、奥能登2市2町を管轄する奥能登広域圏事務組合消防本部への業務支援を求める要請があった。県が各消防本部の仲介役となって派遣態勢を調整した。消防庁は福井県にも同様の要請をした。

 発災直後は、緊急消防援助隊として駆け付けた富山を含む全国の消防士らが安否不明者の捜索などに従事した。1カ月が過ぎた現在は任務を終えて引き揚げる隊もある。被災地では今も断水が広域で続き、避難生活を送る人も多く、今後は隣県の富山、福井の消防隊が中心となって支援に当たる見通しだ。

 富山市消防局は20~40代の職員7人を第1陣として派遣する。出発前日の2日は派遣車両の消防ポンプ車1台と救急車1台の点検を行った。救急車にはガーゼや自動体外式除細動器(AED)などの医療資機材を積み込んだ。悪路に備えてスコップも用意した。

 今回派遣される富山市消防局の丸山重之警防課施設装備係長(48)は「被災地ではまだまだ消防の力が必要とされている。少しでも力になれるよう頑張りたい」と意気込んだ。高岡市消防本部の担当者は「消火や救急支援などの出動要請にしっかり対応できる隊を準備した」と話した。

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