「真っすぐ打ったら曲げて打つ」練習も健康な食事と一緒で“ バランスよくいろいろ” が大事

練習に行くと大半はフルショットしか打たない、という人は多い。全力に近い力やスピードで振るから疲れるが、「疲れにくいローカロリーの練習のほうが効果は高い」とマスター今野。その理由とは?

サイドメニュー的練習がメインディッシュを惹き立てる

遠くに飛ばしたら、飛ばさない。真っすぐ打ったら、曲げて打つなど、練習も健康な食事と一緒で“ バランスよくいろいろ” が大事。「なんでも食べる(やってみる)。メインはクラブを振ることですが、上手なゴルファーは振る時間よりも正しいアドレスをとることにはるかに長い時間をかけている。疲れはしないけど単調で地味、薄味に感じる練習が美味しいと感じるようになったら上級者に近づいていますよ」(今野)

ノブ 先日、女房に付き合ってフルコースを食べにいったんだけどさ。

今野(マスター)フレンチですか?

ノブ オーガニックとかいってたな。時間もかかるし、ちょっとずつしか出てこないし、俺はステーキとか焼肉のほうがよかったよ。

今野 美味しくなかった?

ノブ いや、うまかったよ。味や食感もいろいろだったし、何よりも健康的だった。

今野 フルコースって、前菜からデザートまででひとつのストーリーというか作品だといいますよね。それぞれの品が、その前後の品にもいい影響を与える、というのはゴルフと一緒です。

ノブ ゴルフとフルコースの食事が?

今野 フルコースのように「いろいろ食べてください」ということです。多くのアマチュアは食べ応えや満腹感のある練習ばかりを好みますから。

ノブ 満腹感があるってどういう練習?

今野 フルショットなど飛距離を出す練習ですね。ハイカロリーでメインディッシュ的なものです。

ノブ それ以外はどんな練習?

今野 飛ばすの逆で、飛ばさない練習ですよ。

ノブ あー。ハーフスイングとか、ゆっくり振るとかでしょ。つまらないんだよねぇ。

今野 あっ、その「つまらない」っていうのも食事と一緒ですね。「詰まらない」ということは体内にスッと入っていく。ローカロリーのものほど喉の通りがよく、消化や吸収がよいものが多いですよね。スプリットハンドやクロスハンド打ちもローカロリーです。

ノブ どれもやったことはあるけど、継続したことはない!

今野 続けることももちろん大切ですが、私がいいたいのは「いろんな練習をしたほうがいい」です。また食事の話になりますが、舌が肥えている人とゴルフが上手な人は同じだとしましょう。食通は出汁やお茶など薄味なのものでも、深みがある、甘味があることを感じて美味しいと思うのは、なぜだと思います?

ノブ うーん。いろいろな味を知っているからかな?

今野 そうです! ノブさんも先ほどフルコースが美味しかった理由を「味や食感がいろいろで」とおっしゃっていましたよね。経験したことや比較するものが多いからわかる。そして、薄味のよさがわかると濃い味のよさもいっそう惹き立つのです。

ノブ わかったぞ! 濃い味のハイカロリー、フルショットの練習ばかりやってないで、薄味でローカロリーなハーフスイングやアプローチの練習をもっとしなさいってことだろ!

今野 はい。メインディッシュをより美味しくする。つまり、フルショットのスイングをよくするのは、サイドメニューや付け合わせ的な練習法なのです。

ノブ まぁそうだね。地味で退屈な練習ほど効果があるっていうもんね。

今野 いろんなメニューがあったほうが、楽しいし飽きませんから。

ノブ そういえばマスターのところのスタッフもいろいろな練習をするし、練習あとの食事ではサイドメニューだのトッピングだのいろいろ頼むよね。支払うマスターも大変だ。

今野 食事に関しては、彼らはただ単に食いしん坊なだけです……

いかがでしたか? ぜひ、ゴルフに関しても、なんでもやってみてください。

マスター今野一哉
●こんの・かずや/1982年生まれ。本企画「スナックこんちゃん」のマスター兼ゴルフのプロコーチ。RainbowFM(88.5MHz)の「サタマニ♪」(第2土曜 15:00-16:00オンエア)で、ラジオパーソナリティも務める。キッズゴルフクラブ代表。

写真=鹿野貴司
イラスト=野村タケオ
協力=LaFace

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