【感染症ニュース】35歳女性「肺の裏側刺されるような痛み…」 看病家族にも感染 新型コロナ全国定点12.23と増加

不安になったら検査を

厚生労働省が2024年2月2日に発表した2024年第4週(1/22-1/28)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」によると、全国の定点当たり報告数は、14.93。前週(1/15-1/21)の12.23と比べて、およそ1.22倍増えています。新型コロナウイルス感染症の患者報告数の増加は、10週連続となっています。都道府県別では、福島県23.94・茨城県21.15・栃木県21.01・群馬県20.66・千葉県20.88・石川県20.91・愛知県21.24と関東地方を中心に、20を超える県が出ています。九州地方では、微減・横ばいの県もありますが、全国的には、依然、注意が必要なレベルです。今回、『感染症・予防接種ナビ』が取材したのは、35歳の女性です。

【2月に注意してほしい感染症!】新型コロナ増加に勢い新たな流行株JN.1への置き換わり一因か… インフルエンザ動向に注意

35歳女性

1/21(日)鼻の奥と喉のつながった部分(上咽頭部)に、違和感を感じました。いつもの風邪かと思い、特に何もせずにいました。
しかし、翌22日午前中から、上咽頭部に刺激を感じました。いわゆる『イガイガ』する感覚です。そして、全身に倦怠感が現れました。そして、ほぼ同時に、身体の節々に痛みを感じ始めました。その後、頭痛の症状が出始めましたが、頭頂部が割れそうに痛く、しばらく耐えていましたが、余りに辛いので、夕方に市販の頭痛薬を服用しました。この時点で、体温は、37.4℃。夜には、37.7-38.0℃まで上昇しました。全身が悪寒と痛みで、症状は、その後も、しばらく続きました。
3日目の朝、起き上がろうとしても、起きることができず、15時頃まで、ベッドにいました。ただの風邪ではないと思いました。黄色い痰も出始めました。全身が痛く、倦怠感が続いていましたが、家族に感染させてはいけないし、家事・育児のこともあったので、意を決し、医療機関を受診。症状から、インフルエンザの可能性もあるとのことで、インフルエンザと新型コロナの検査を受けました。結果、コロナ陽性。医師からは「辛かったら、ガマンせずに、薬を飲むように」と指示されました。また、水分補給を怠らないよう、事細かに、診察してもらえたので、安心しました。咳止め薬・喘息の薬・抗菌薬・カロナールが処方されました。処方された薬を服用してからは、夜は、37℃台後半の発熱はあるものの、日中は落ち着いていました。
4日目の現在、頭痛は収まってきたのですが、背中の肺の裏側に刺される様な痛みを感じます。背中側から刺されているようなイメージです。
娘は、私のコロナ陽性が判明した後は、学校を休み、家で隔離生活を送っていたのですが、私の症状がつらそうなのを見かねて、背中をさするなど、看病してくれました。娘に感染しないか気がかりでした。また、背中をさすってもらうと、症状が和らぐのですが、一時的なものです。気管支喘息の持病があるのですが、喘息発作が起きないか不安になったことを覚えています。ワクチンも、接種券が配られたら、必ず接種していたのですが、まさかの感染でした。その後、1/30(火)に、娘が発熱…。翌日に、検査を受けた所、コロナ陽性が判明しました。娘は、初日に発熱はあったものの、翌日以降は、くしゃみと鼻水以外の症状はありません。しかし、感染力の強さを実感しました。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、「新型コロナの患者報告数が、着実に増え続けています。主流株の入れ替わりが、増加の一因となっている可能性があります。今回のご家族で感染された方のお話ですが、頭痛・発熱など、様々な症状が出ていますね。直接診断した訳ではないので、分からない点も多くありますが、症状も辛そうに感じます。一日も早い回復をお祈りしています。こちらの方には、対症療法的な薬が処方されたようですが、抗ウイルス薬を処方するかどうかの判断は、医師によって温度差があります。私自身は、抗ウイルス薬を処方してもらったほうがよいと考えます。重症喘息で入院されているコロナ患者の方を診察しましたが、その時も、抗ウイルス薬を服用頂きました。新型コロナについては、抗ウイルス薬が、症状の改善や重症化を防ぐために有効であると考えられています。私自身が診察した経験上、抗ウイルス薬を服用した患者さんのウイルス量を検査すると、服用後には、大きく減少します。その後に、症状も大きく緩和されるため、抗ウイルス薬でウイルス量を減らすことは、後遺症の軽減・防止にもつながると考えています。症状や重症化リスクの程度により、様々な抗ウイルス薬がありますので、まずは医師の診察を受け、処方について、相談してみてください。薬価が少々高いというデメリットもあるので、医師とよく相談をして使用を検討してみてください」としています。

新たな派生株JN.1の流行状況

また、国立感染症研究所感染症疫学センターが発表した「新型コロナウイルス感染症サーベイランス週報2024年第2週(1/8-14)」によると、2024年の第1週(1/1-7)のデータでは、XBB系統(HK.3、JG.3、GK.1.1ほか)の株の割合が、49.48%。BA.2系統(BA.2.86.1、JN.1、JN1.1など)も49.48%と拮抗しています。第1週のゲノムサーベイランスでは、その中でもBA.2系統のJN.1系統が最も多く、19.6%を占めているとしています。
安井医師は「第1週データでは、主流株は拮抗していましたが、BA.2.86系統の勢いが強いため、翌週には、BA.2.86系統が優勢となっていると予測されます。現在、患者報告数が増えつつあるのは、新たな流行株に置き換わりが進み、感染力が強くなっているとためだと考えられます。今後の流行規模は、なかなか予測が難しく、昨夏の流行を超えるのか注視が必要です」としています。

引用
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について令和6年第2週(1/8-14)、新型コロナワクチンQ&A、新型コロナウイルス感染症診療の手引(第10.0版)
国立感染症研究所感染症疫学センター「新型コロナウイルス感染症サーベイランス週報2024年第2週(1/8-14)」
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏

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