アンドレッティが「挑戦への理解」を欠くと断じるF1。一方、却下事由に挙げたPU問題では不可解な点も

 マイケル・アンドレッティのF1プロジェクトはFIA国際自動車連盟の承認を得て、F1の商業権所有者FOM(フォーミュラワン・マネジメント)が審査を行っていたが、既報のとおり、FOMは1月31日にアンドレッティ・グローバルによる2025年または2026年のF1参戦を却下することを正式に発表した。

 F1はアンドレッティ・グローバルが来年すぐにも新車で参戦し、その後まったく新しいシャシーを製造しなければならない2026年も継続する意図を持っていたことについて、“チャレンジの範囲に対する理解”が欠如しているとして、アメリカのチームの計画を完全に一蹴した。

 先月31日(水)の午後に発表された長文の声明は、「設立後2年間でまったく異なる2台のマシンを新チームが製造することを考慮すると、2025年に新規参入を認める根拠はない」との考えを明らかにしている。

 審査を行ったFOMは、アンドレッティとそのパートナーがF1へのエントリーを許可された場合に、自分たちが何に加わろうとしているのか、その考えを充分に持ち合わせていないと認識していると断じ、「申請者がこのように提案しているという事実は、関与する課題の範囲について申請者の理解の度合いを疑う理由となる」としている。

 しかし、たとえエントリーが2026年シーズンの開幕時からF1に参加するという具体的な目標を持って行われたとしても、FOMはアンドレッティが成功のチャンスを得るために必要な物を備えているか、という点について次のようにはっきりと疑いを投げかけている。「2026年のエントリーでは、この特定の問題に直面することはないだろうが、それでも世界のモータースポーツの最高峰であるF1は、コンストラクターに対して他に類のない技術的挑戦を投げかけており、それは申請者がこれまで参戦した他のフォーミュラや専門分野では直面したことのない性質のものだ」

 こうしたF1側の声明には、「アンドレッティは、参戦初期の数年間に必須となるパワーユニット(PU)供給に依存してエントリーすることを提案している」という不可解な文章が付け加えられている。

 アンドレッティ・グローバルは、アルピーヌからPUとその他のメカニカルパーツの供給を受ける契約をすでに交わしていた。

 もちろんその契約は、2024年に向けてアンドレッティのチームがF1に受け入れられないことが明らかになった昨年半ばに期限を迎え、一度効力を失っている。しかしアルピーヌF1のチーム代表であるブルーノ・ファミンが明言したところによると、昨年終盤も新たな契約締結に向けて扉は開かれ続けていたという。

 ファミンは次のように述べている。「我々はアンドレッティとゼネラルモーターズ(GM)と話をしてきたし、彼らのエントリーがうまくいけば、喜んでこれらの話し合いを再開する。ただ、今のところはすべてが保留となっている」

 ファミンは続けて「アンドレッティと暫定的な合意に至ったが、その後あらゆることが当初の考えよりも少し長くかかったために、その合意は失効した」と説明したうえで、「アンドレッティと一緒に解決策を見つけるために、ふたたび話し合うことにまったく不満はない」と明言した。

 アンドレッティが2025年と2026年、さらに2027年に向け、強制的に既存のPUメーカーから供給を受ける必要があると読み取ることができるかどうか、このことを理解するのは難しい。これは、F1側が新しいアメリカのチームの参入を望まない理由を説明する声明に盛り込まれた、多くの矛盾のひとつとなっている。

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