おばあちゃんたちが紡ぐ「かき餅」 プゥーと膨れておいしい、素朴で優しい郷土の味 遠方から注文が入ることも

焼くとプゥーと膨れておいしい郷土食「かき餅」が鳥取県智頭町から全国に発送されています。

年を重ねたおばあちゃんたちの手が豊かな味を紡ぎだします。

ここは鳥取県智頭町の那岐地区、寒さが堪える季節ですが、おいしい餅にするにはこの時期が適しているということで、小さな作業場におばあちゃんたちが集まって、かき餅づくりを続けています。

那岐特産品開発研究会 国政正子さん
「自然の優しい味かなと思うんですけど」

「氷餅」とも呼ばれ、冬のおやつとして昔から親しまれたこの郷土食を、那岐特産品開発研究会が販売用に作り始めたのは1992年、ゆず、しそ、人参、のり、豆を練りこむ5種類の味と色合いも、この時決めました。

厚さ数ミリの長方形に切り揃えた餅を2枚重ねにして、おばあちゃんたちは順番通りに稲わらで編み込んでいきます。

連なったかき餅を並べると、作業場も花が咲いたように華やかに。

長く研究会の代表を務めた女性が去年亡くなりましたが、メンバーはその心意気を受け継いで伝統の味を守り続けています。

那岐特産品開発研究会 国政正子さん
「みんなの顔を見たり、話をしたりというのがボケ防止にもなるかなと思って来ています」

日野彰紀 記者
「焼くとこんなに膨らむんですね、頂きます。とても香ばしくておいしいです」

素朴で優しい郷土の味は徐々に評判を広げ、ずいぶん遠くからも注文が舞い込むようになりました。

那岐特産品開発研究会 国政正子さん
「この間、(注文が)北海道というのがありましてびっくりしたけど、こちらにおられる方が自分のご親族に贈られるみたいで、それからネットで見たとかおっしゃって遠い方でも注文してくださいます。」

おばあちゃんたちの元気の源にもなっている智頭のかき餅づくりは、3月頃まで続きます。

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