「落ちない」セミの抜け殻、受験のお守りに 兵庫・相生の若狭野天満神社「羽化するように、不安の殻を破り合格つかんで」

「天神蝉合格守り」を手にする福田命宮司=相生市若狭野町野々

 学問の神様・菅原道真をまつる若狭野天満神社(兵庫県相生市若狭野町野々)が、セミの抜け殻を使ったユニークな受験生のお守りを授与している。その名も「天神蝉(てんじんせみ)合格守り」。木にしっかりと付いて落ちない姿にあやかってもらいたい、との願いを込める。 ### ■2度の台風を経てもなお

 「受かる」「勝つ」「滑らない」「落ちない」など、全国の神社や寺などには験を担いださまざまな受験生のお守りがある中、セミの抜け殻を使ったものは珍しいという。

 福田命(みこと)宮司(53)が2017年夏に境内で、2度の台風を経ても木々にしっかりと付いているセミの抜け殻を見つけ、お守りの着想を得た。長い歳月を地中で過ごした後、高い所へよじ登って脱皮するセミの生態についても「羽ばたくために地道な頑張りを続け、チャンスをつかもうと高みを目指す姿はまるで受験生のよう」と感じた。

 お守りは、夏から秋にかけて境内で集めたニイニイゼミやアブラゼミの抜け殻を小さな瓶に収め、桜の模様をあしらった錦織の袋に入れる。受験生から「難関に合格した」との知らせが届いたこともある一方、抜け殻の見た目が苦手な人もいるという。

 福田宮司は「セミが羽化するように、恐れや不安といった『殻』を打ち破り、合格をつかみ取ってもらいたい」と受験生にエールを送る。一つ1800円。同神社TEL0791.28.0041 (豊田 修)

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