小さな警察犬 活躍 高い「秘匿性」長所 茨城県警、今年6頭任命

今年任命されたトイプードルなどの嘱託警察犬=水戸市笠原町

茨城県内で小・中型の嘱託警察犬が活躍している。警察犬はシェパードなど大型犬種が一般的だが、県警は今年、主に小・中型の6頭を任命。捜索中に警察犬と気付かれにくい「秘匿性」が最大の長所で、家族が周囲に知られたくない場合の捜索などで出動している。

日本警察犬協会は、シェパードやドーベルマン、ゴールデンレトリバーなど主に大型の7犬種について、警察犬に適正がある「指定犬種」に定めている。

嘱託警察犬制度を導入する県警は2015年の試験から、「より優秀な警察犬を採用するため」(鑑識課)、全犬種を受験可能とした。ただし試験内容は全く同じで、体格差による優遇はない。同年の試験ではトイプードル1頭が合格した。

その後は指定犬種以外の嘱託警察犬が増加傾向。同課は「意図的に増やしているわけではないが、指定犬種以外でも優秀な警察犬が増えてきた」と説明する。

同課によると、小型犬は地面と鼻の位置が近いため薄いにおいを嗅ぎ分けたり、小さな遺留品を見つけたりできる。

中でも、最大の長所は高い秘匿性だ。近年はシェパードなど一目で警察犬と分かる犬種が捜索活動に従事していると、物珍しさから交流サイト(SNS)に投稿されるリスクがあったり、事件の被害者などを特定される恐れもあったりする。ペットとして飼う犬種の場合、投稿や特定の可能性を低く抑えられるという。

警察犬指導士歴30年以上の鈴木博房さん(73)=同県東海村=によると、近年は認知症の高齢者や自殺願望のある10~30代の捜索依頼が増加。こうした捜索の依頼者は、家族の行方不明について周囲に知られることを嫌がる傾向があるといい、鈴木さんは「秘匿性を求められる事案が年々増えている」と話す。

3頭のトイプードルを嘱託警察犬に育て上げた鈴木さんの下には、警察犬を所有する他府県警などから「小型の警察犬を育てたい」と指導法を学びに訪れているという。

全国では、ミニチュアダックスやミニチュアシュナウザーの嘱託警察犬も誕生しており、鈴木さんは「ここ数年で、全国的にも小型警察犬のニーズが広がっていると感じる」と話している。

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