輪島で仮設住宅入居開始 住民「やっと洗濯できる」

仮設住宅に入り、家具を確認する大下さん親子=3日午前10時半、輪島市マリンタウン

 輪島市で3日、能登半島地震の被災者向けに建設された応急仮設住宅へ、住民の入居が始まった。入居は地震後、初めてで、平屋18戸に、18世帯55人が入る予定。市内の断水が続く中、部屋に入った住民はキッチンやトイレから水が出ることを確認。「これでやっと洗濯できるね」と笑顔を見せ、生活再建に向け新たな一歩を踏み出した。

 入居が始まったのは同市マリンタウンの輪島キリコ会館多目的広場に整備された4LDK4戸と2DK14戸の仮設住宅。

 市役所で鍵を受け取った北國新聞輪島販売所の大下澄子さん(76)は「気を使わなくていいから精神的に楽。洗濯も子どもに頼まなくていいし、良かった」とうれしそうに話した。

 大下さんは河井町の朝市通り周辺の大規模火災で自宅が焼失し、市ふれあい健康センターに身を寄せていた。3日は家具を運び入れ、4日以降に1人で暮らす。

 一緒に仮設住宅に訪れた長女の尚美さん(53)は、「避難所は仕切りもない雑魚寝状態で、感染症の心配もある。母一人でも入居できるのは安心」とほっとした様子だった。

 仮設住宅は木造で、窓は三重ガラスになっている。結露しにくい上、遮音効果が高い構造で、隣家の生活音が気にならないという。冷暖房完備で、オイルヒーターも設置されている。キッチンやトイレ、風呂付き。浄水をためる受水槽と下水の浄化槽も設置された。

 市には4千件を超える仮設住宅への入居申請があるが、市内で2日までに着工したのは548戸にとどまっている。市は市有地だけでなく、民有地の提供を受けられないかを含めて、候補地の確保を急いでいる。

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